【基礎知識】溶接のビード幅について【知っ得!】
溶接のビード幅って何か決まりあるんですか??
基礎知識教えて欲しい!
溶接のビード幅に明確な決まりみたいなものはないよ。
ただ,業界標準や『こうしたほうがいいよね』っていう『基礎知識』みたいなものはあるから説明するね!
本記事の内容は以下の通り
- 溶接のビード幅とは?
- 溶接のビード幅と脚長との違い
- 溶接のビード幅【業界標準】
- 溶接のビード幅【基礎知識】
この記事を書いている俺は「溶接歴25年超」の熟練溶接工。
保有資格は,JIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するに,現場歴が長い職人。
本記事は,溶接のビード幅を解説した記事。
- 溶接のビード幅について業界標準を知りたい人
- ビード幅と脚長の違いがわからない人
は,ぜひ参考にして欲しい。
溶接のビード幅とは?
ビード幅とは・・・溶接してある部分(幅)のこと。
ちなみに上記の写真は4パス仕上げしてあるが,1パスのビード幅を言う場合もある。
溶接のビード幅と脚長との違い
間違いが多いのが,
ビード幅と脚長
えっ!一緒じゃないんですか??
似てるけど違うんだ。
下の図をじっくり見てみて!
- ビード幅・・・溶接してある部分(幅)
- 脚長・・・すみ肉溶接(ほぼ直角に交わる二つの面のすみに溶接する、三角形の断面をもつ溶接)において、すみ肉継手のルート(根元の部分)からすみ肉溶接の止端(母材の面と溶接ビードの表面とが交わる点)までの距離のこと。
実際の現場でも,間違えて説明している現場監督や職人を見かけるので注意!
脚長についてもっと詳しく知りたい人は,下記記事で解説しているので参考にどうぞ↓
溶接のビード幅【業界標準】
溶接のビード幅について,明確な決まりみたいなものはない。
しかし,業界ごとの標準みたいなものはある。
- 自動車業界・・・ビード幅は薄板側の板厚の1.5倍以上
- JIS溶接試験・・・薄板3.0mm〜ビード幅20mm以下,中板9.0㎜〜ビード幅45~60mm以下,厚板19.0㎜〜ビード幅80mm以下
など。
また,
- 会社ごとにビード幅を決めている所
- 製品ごとにビード幅を決めている所
- 各種設備基準(電力・ガス)などでビード幅が決まっている場合
もある。
それを踏まえた上で,溶接初心者は次のことを意識するといい。
溶接のビード幅【基礎知識】
溶接のビード幅について,先日下記のようなツイートをした。
【溶接のビード幅について】
1.脚長とは違う
2.ウィービングは棒径の3~4倍の幅まで
3.開先幅+2mm程度まで
4.ビード幅を揃えるのは溶接工の技量
5.プロは細く重ねることが多い寸分の狂いもないビード幅。
それをただひたすらに追い求めているのが,溶接工😎
— Mac好きな溶接工@職人の概念をぶっ壊す! (@kaisyabaibai) August 14, 2021
【溶接のビード幅について】
- 脚長とは違う
- ウィービング(ビード幅)は棒径の3~4倍の幅まで
- 開先幅+2mm程度まで
- ビード幅を揃えるのは溶接工の技量
- プロは細く重ねることが多い
寸分の狂いもないビード幅。
それをただひたすらに追い求めているのが,溶接工
上記ツイートを深堀り解説していこう。
1.脚長とは違う
前述で書いた通り,ビード幅と脚長は違う。
この間違いは,なかなか恥ずかしいので絶対に覚えておくこと。
『そんなん間違えるわけないやん!』って思うプロの人たくさんいるだろうけど,現実として現場では馬鹿な現場監督や職人が日々間違ってます(笑)
もう一回言いますね。
ビード幅と脚長は違う
しつこいなぁ〜…覚えました!
2.ウィービング(ビード幅)は棒径の3~4倍の幅まで
ウィービング幅=ビード幅
1回の溶接で開先を全部埋めたい気持ちはわかるが,ウィービングは棒径の3~4倍までに抑えておいたほうがいい。
その理由は,
- 棒やトーチを振れば振るほどシールドが揺れ,ブローホールが入りやすいから
- 広くウィービングしようと思うとゆっくり進まねばならず,溶接電流を上げれない=作業効率が悪いから
この2点の理由から,ウィービングは棒径の3~4倍までに抑えておいた方がいい。
例えば,
- 3.2Φの溶接棒ならウィービング幅(ビード幅)は12mm程度まで
- 2.0Φの溶接棒ならウィービング幅(ビード幅)は8mm程度まで
とする。
1パスの溶接で開先が埋まらなければ,パス(溶接)を重ねてビード幅を広げていく。
ウィービング幅(ビード幅)を1回の溶接で広くとらないように意識しよう。
ウィービングについてもっと深く知りたい人は,下記記事よりどうぞ↓
3.開先幅+2mm程度まで
ビード幅は開先幅+2mm程度までにしよう。
その理由は,
- ビード幅が広すぎると,応力が集中し強度が減るから
- ビード幅が広すぎると,ひずみが大きくなるから
この2点の理由からビード幅は開先幅+2mm程度とする。
溶接ビードを置く際,目印になるのが開先の幅なので,それより広く取ると蛇行する可能性も増える。
不必要にビード幅を広くとるのはやめよう。
開先について解説した記事はコチラ↓
4.ビード幅を揃えるのは溶接工の技量
次の写真を見て欲しい↓
どちらの溶接工に仕事を頼みたいか明らか。
1枚目の写真は,ビードが黒ずんで何か汚い感じ。
2枚目の写真は,ビードがいい色に焼けてパッと見た目美しい。
上記写真は,全く同じ製品。
ビード幅は溶接工の技量によるってこと。
溶接工はビード幅を揃えるために練習を繰り返すといっても過言ではない。
寸分の狂いもないビード幅=溶接工の技量
ってことは覚えておいてほしい。
5.プロは細く重ねることが多い
プロはビードを細く重ねることが多い。
その理由は,
電流が高いため(溶接スピードが早いため),広くビード幅を取れないから
プロは溶け込みを何より(外観より)重視するため,極限まで電流を上げる。
なので,ゆっくりウィービングしてる余裕がない。
だからビード幅は必然と細くなる。
『ビード幅が細い=上手い』ではないが,細いほうが『溶け込みは良さそう』とは言える。
ビード幅を見て極端に太いビードがあれば『素人っぽいな…』って感じ。
基礎知識というか豆知識として,知っておくといい。
溶接のビード幅について:まとめ
【溶接のビード幅について】
- 脚長とは違う
- ウィービング(ビード幅)は棒径の3~4倍の幅まで
- 開先幅+2mm程度まで
- ビード幅を揃えるのは溶接工の技量
- プロは細く重ねることが多い
寸分の狂いもないビード幅。
それをただひたすらに追い求めているのが,溶接工って職種。
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