多層盛り溶接の層数とパス数の数え方はややこしい。
ほとんどの溶接が多層盛り溶接だ。
多層盛り溶接とは?
溶接ビードと溶接ビードを重ねる方法のこと。
1層で終わる溶接ならばいいが,母材厚みがあると
必ず2回,3回と溶接ビードを重ねて階層を作り
開先を溶かしていかなければならない。
多層盛り溶接で出てくる溶接用語が何層何パスって言葉。
層数とパス数がややこしくて,
初心者のころはよく数え方を間違えて怒られた。
今回は多層盛り溶接における層数とパス数の数え方を記事にしたい。
多層盛り溶接の層数とは?
5層盛りとか6層盛りとかの層数とは何か?
積層数ともいう。
よく学校の理科の授業で地層の断面の写真がでてきたが
あれとよく似ている。
大抵の溶接は1層では終わらず2層,3層と層を重ねる。
図で見てみると
5層14パスの図。
開先が消えるまでに階層は何層あるか?ということ。
層数は5層仕上げとなる。
多層盛り溶接のパス数とは?
10パスとか20パスとかパス数とは何か?
パス数とは溶接ビードをひいた数のこと。
何回走ったか?ってこと。
図でいえば
赤字が溶接ビードを重ねた回数。
開先が溶けきるまでに14回溶接している。
層数は5層でパス数は14回。
だから5層14パス仕上げという。
多層盛り溶接の例
3層の3パス。
JIS溶接試験のN-2FやN-2Vなんかはこの盛り方が多い。
6層17パス。
ここまでくると覚えてられないのでメモしながら溶接する。
層数とパスの数え方は覚えてしまえば簡単。
多層盛り溶接をしなければならない理由
母材厚みがある場合
1層で溶接が終わるのは2mm〜3mm程度の母材厚み。
それ以上の厚みは多層盛り溶接になる。
単純に1層で溶接が終わらない場合,
層数とパス数を増やさなければならない。
図面指示がある場合
溶接には図面指示がある場合がある。
2層2パスとか3層4パスとか。
図面指示がある場合は図面指示通りで溶接を行う。
溶接前にしっかり確認する。
溶接熱や応力による変形量を抑えたい場合
溶接は入熱を抑えることによって
変形量が変わる。
入熱は層数やパス数によって変わる。
一度に大きなビードをつけると入熱は上がるので,
適切なビードで入熱を抑え溶接する必要がある。
入熱量を管理する場合
変形量同様,溶接の入熱量を管理する場合。
大きな入熱だと機械的性質や強度が低下する。
入熱量を管理し適切な入熱量を管理する必要がある場合。
溶接脚長の関係
1層だけでは脚長が確保できない場合。
脚長はのど厚に関係するのでしっかり確保したい。
多層盛りは脚長確保に欠かせない。
まとめ
層数とパス数の数え方は基本だが
意外と知らない溶接工が多い。
材料の強度や変形にも関わってくるので,
層数とパス数は重要項目。
溶接が終わった後に聞かれることが多いので
しっかり自分が溶接した箇所はメモ等で把握する必要がある。
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