【仮付け溶接は命!】7つの注意点を『現役配管溶接工』が解説【基本】
仮付け溶接ってテキトーでいいいんですよね??
って言ったら怒られました…。
注意点とか教えて欲しい。
仮付け溶接は,配管溶接工にとって『命』だよ!
基本的な注意点を詳しく解説するね。
本記事の内容は以下の通り
- 仮付け溶接とは?
- 仮付け溶接の注意点【7つある】
- 仮付け溶接は溶接工にとって『命』である理由
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格は,JIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するに,ベテラン溶接工で溶接の専門家。
本記事は,仮付け溶接の注意点について,解説した記事。
※俺はプラントの配管溶接作業が主の配管溶接工。溶接の職種によっては感覚がちがうかもしれないが,そこはご了承ください。
仮付け溶接とは?
仮付け溶接=タック溶接=仮止め溶接
配管溶接工にとって,全て同義語。
配管を溶接する前,パイプと継手,またはパイプとパイプを固定することを『仮付け』とか『タック』とか『仮止め』と呼んでいる。
仮付けについて,こんなツイートをした。
軽視してるけど、実はめっちゃ大事なことってありますよね??
例えば、
・ビールのグラス
・車のウインカー音
・ラーメンの温度
・ピザの生地の薄さ
・ローンの1%
・5分の空き時間溶接では、それが『仮付け』になります。
軽視してるけどめっちゃ大事😎
— Mac好きな溶接工@職人の概念をぶっ壊す! (@kaisyabaibai) January 22, 2021
軽視してるけど、実はめっちゃ大事なことってありますよね??
例えば、
・ビールのグラス
・車のウインカー音
・ラーメンの温度
・ピザの生地の薄さ
・ローンの1%
・5分の空き時間溶接では、それが『仮付け』になります。
軽視してるけどめっちゃ大事😎
軽視してるけど,実はめっちゃ大事なこと。
それが,仮付け。
では,注意点を確認していこう!
仮付け溶接の注意点【7つある】
配管を仮付けする時に注意することは7つ。
- 均一なルート間隔
- 本溶接以上の品質
- 割れさせない工夫
- 仮付けの位置(開先内か外か)
- 仮付け方向の確認
- ひずみの考慮
- 配管内の風・水
上記の通り。
深堀していこう。
1.均一なルート間隔
当然と言えば当然だが,現場では結構妥協して仮付けすることが多い。
ルート間隔4mmで散々練習したのに,現場では2mmでやらされるという…(苦笑)。
±2mmぐらいは対応する必要がある。
しかし,目指すべき(理想)は均一なルート間隔。
均一なルート間隔ならRT合格率も格段にアップするし,練習の成果も出しやすい。
仮付け溶接の縮分を考慮してルート間隔を設定すること。
均一なルート間隔を目指すことは基本中の基本事項。
2.本溶接以上の品質
仮付け溶接は,本溶接以上に注意して溶接する必要がある。
その理由として,
- 短いビードになるため,割れやすい
- 母材を急熱・急冷しやすい
- 位置が決まってしまう
ストロングバックを使うにしろ,開先内に仮付け溶接するにしろ,どちらにしても細心の注意が必要。
俺が所属する会社では,配管の仮付け溶接はベテランの溶接工が担当することになっている。
全体的な工程が見えてる人でないと,仮付け溶接は難しいからというのがその理由。
3.割れさせない工夫
仮付け溶接は割れやすい。
- 短いビード(ショートビード)による急熱・急冷
- 組み立てるごとに無理な力がかかる
ことによって割れやすい。
マラソンランナーでも本走行前には,ストレッチしますよね??
仮付けも同じで母材のストレッチが必要。
仮付け溶接する時は,割れないように,
- ゴミや水分の除去
- 仮付け溶接棒の確認
- 母材の温度
- 外気温
- ビード長さ・脚長
などに注意して,仮付けする必要がある。
特にクローム量が多い『合金鋼』や『厚みがある配管』などを仮付け溶接する時は,仮付の順序も考えて慎重にやらなければ,本溶接時に割れてルート間隔が一気に変わるリスクがある。
仮付けを割れさせない工夫,大事。
4.仮付けの位置(開先内か外か)
仮付けの位置によって,本溶接の効率が変わるので重要事項。
- ストロングバック・ピースを使うのか?
- 開先内に仮付けし,本溶接と繋ぐのか?
前者だったら,ストロングバックを外した後に配管の健全性確認でPT検査・UT検査が必要になる。
後者だったら,本溶接と繋ぐので仮付けと言えども本溶接と同じ。
どちらも一長一短の方法で工程も違ってくる。
実は開先内の溶接はNGでした…とか,ストロングバックは禁止です…とかも現場によっては存在するので仮付け前に確認しよう。
5.仮付け方向の確認
開先内仮付け限定になるが,仮付け方向の確認も重要。
- 何箇所仮付けするのか?
- 何度の位置に仮付けするのか?
- 手前なのか奥なのか?
- 右から左なのか?左から右なのか?
仮付けする人と,本溶接する人が違う場合に問題になる。
仮付け組と本溶接組で班をわけるなら,事前に打ち合わせをしっかりと。
俺じゃね〜,あいつ(仮付け組)のせい。
仮付け組がテキトーすぎ!(怒)
とか現場でよくみる光景なので。
6.ひずみの考慮
何も考えず,配管と配管を仮付けし,本溶接したら絶対にひずみが発生する。
真っ直ぐじゃないとダメな配管が歪んだり,勾配がついてしまったり。
本溶接でひずむことを考慮して仮付けする。
理想は本溶接後にピッチリ真っ直ぐ。(※現実はひずみ直しの工程が入る)
難易度は高いが,経験を積めば大体のひずみ量がわかってくる。
仮付けするなら,ひずみの考慮を忘れずに行おう。
7.配管内の風・水
現場溶接限定だが,仮付け時に配管内の状態確認するのは鉄則。
Tig溶接や半自動溶接はシールドガスを使うので,風・水に激弱。
特に気づきにくいのは,配管内の吸い込み風。
プラント配管溶接工特有の現象かもしれないが,溶接する対象配管が風道や煙突と繋がっていたら要注意。
吸い込み風が発生し,溶接時に時間がかかる(系統確認や泡シールの準備など)。
仮付け時には,100円ライターなどで吸い込み風を確認しよう。
現場仮付け溶接の鉄則。
仮付け溶接は溶接工にとって『命』である理由
仮付けが『命』である理由。
それは,
本溶接では誤魔化しが効かないから
- 配管の目違い
- 仮付けの割れ
- ひずみの大小
- RT検査の合格率
- 溶接のスピード
- 溶接後の直し
上記は全て『仮付けの良し悪しで決まる』と言っても過言ではない。
本溶接で直そうと思っても,なかなか難しい。
軽視しがちだけど大事。
それが仮付け。
【仮付け溶接は命!】7つの注意点:まとめ
【仮付け溶接は命!】7つの注意点
- 均一なルート間隔
- 本溶接以上の品質
- 割れさせない工夫
- 仮付けの位置(開先内か外か)
- 仮付け方向の確認
- ひずみの考慮
- 配管内の風・水
仮付けは溶接にとって『命』。
注意点を考えて仮付けしよう。
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