【脱素人】溶接のスピードを爆上げする5つの施策【巧さより速さ】
溶接が遅い!って親方に怒られました…。
丁寧にやってるのに…。
溶接にスピードって大事ですか??
巧さを認められてる証拠だよ。
技量がついてきたら,今度は『速さ(スピード)』を求められる。
溶接スピードを上げるコツを教えるね!
本記事の内容は以下の通り
- 溶接のスピードを上げる理由【シンプルです】
- 溶接のスピードを爆上げする5つの施策【巧さより速さ】
- 溶接のスピードを上げると失うものもある
- 閉塞感を感じたら挑戦してみること!
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格は,JIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するに,ベテラン溶接工で溶接の専門家。
本記事は,溶接のスピードを上げる方法について,解説した記事。
※俺はプラントの配管溶接作業が主。溶接の職種によっては,巧さのほうが重要だったりするので,そこはご了承ください。
溶接のスピードを上げる理由【シンプルです】
溶接のスピードを上げる理由はシンプル。
- 数をこなせば儲けに直結するから
上記の通り。
他にも,
- 歪なども少なくすみ,直しに手間がかからないから
- 残業などが少なく済むから
- 作業時間を減らせば結果的にケガやトラブルのリスクが下がるから
などの理由もある。
要するに,管理者にとってメリットが多いってこと。
溶接の技量に自信がついてきたときに,管理者や班長などから言われる言葉。
もっと速く終わんないか??
スピード上げてくれ。
丁寧にやれって言ったり,スピード上げろって言ったり,どっちすっか!(怒)
怒りたくなる気持ち,痛いほどわかる。
RT(レントゲン検査)でシビアな溶接,安全のためのメガネ・マスク・安全帯,残業続きでヘロヘロな身体…どんだけ求めてくんねん!!(怒)
でも現実は,スピード大事。
- 1日に40リング溶接できる人(RTは全部合格でビードは汚い)
- 1日に20リング溶接できる人(RTは全部合格でビードは超綺麗)
溶接工としては,①番の方が価値が高いのが現実。
当然,下手より巧いほうがいい。
しかし,数こなせてナンボの世界。
下記の写真のような無数の配管がある現場は,
客先や管理者から聞かれるのは,「いつ終わる??」の一点。
巧いけど遅いは致命的だ。
溶接工はF1ドライバーみたいなもん。
F1ドライバーは運転上手いのは当然で,そこに速さが加わるからこそ価値がある。
巧いは当たり前,速くて一人前。
溶接のスピードを爆上げする5つの施策【巧さより速さ】
溶接のスピードを爆上げする5つの施策は下記の通り。
- スピードを意識する
- 高電流に対応する
- 体勢をなるべく変えない
- 体力
- 道具の整備・改造
上記の5つを実行すれば,自然に溶接のスピードは上がっていく。
詳しく深堀していこう。
1.スピードを意識する
誰よりも速く終わらせる。
そう意識するだけで景色が変わる。
電流・体勢・棒の長さ・タングステンの角度・アルゴンガスの流量…スピードを上げる為にありとあらゆる要素の突き詰め。
当然,欠陥は出せない。
誰よりも速く終わらせること,意識してみてほしい。
スピードの優先事項をいつもより,もう一段階上げてみる。
2.高電流に対応する
溶接速度(スピード)は電流に比例する。
要するに,高電流なら溶接のスピードは速くなる。
溶け込みも深くなる。
電流が高ければ,断続で対応したり反復を使ったり。
現場では,電流調整の時間がもったいないので,ちょっと高めでセットする。
日頃から,自分の適正電流よりちょっと高めで溶接する。
大は小を兼ねるという諺があるように,高電流は小電流を兼ねる。
電流を高めでセットするようになったら脱素人。
3.体勢をなるべく変えない
体勢を変えることによっての時間ロスを防ぐ。
配管の正面に立ってグルグル回るんじゃなく,右手・左手・鏡などを使い極力体勢を変えない。(ボイラー溶接では変えないというか,変えれないに近い…)
溶接素人は,とにかくアークを出すまでに結構時間がかかる。
こっちからやろうか,あっちからやろうか…
現場で品物見て,すぐにアークを出せるように練習すること。
体勢がパッと頭に浮かぶ能力,実は結構重要。
4.体力
溶接中に疲れてくると集中力が落ちる。
溶接工にとって,体力と集中力は同義語。
いつまでも永遠に焚ける体力(集中力)が必要。
例えば,高速道路でも一瞬かっ飛ばしてサービスエリアでコーヒー飲んでるより,ずっと一定で休憩なしのほうが到着は結局早かったりする。
うさぎとカメ理論。
溶接のスピードを上げたかったら,長残業に耐える体力を鍛えておこう。
朝8時から夜8時まで焚ききる体力(苦笑)
5.道具の整備・改造
例えば,
- グラインダーに油を挿しておく
- 溶接面のつけ外しを簡単にできるようにする
- いつも使う磨き刃をセットしておく
- タングステンを何本も研いでおく
- 遮光ガラスが曇らないようにしておく
- ハンドライトの電池を新しいのにしておく
- 安全帯に道具をセットできるようにしておく
など。
細かな時間をロスしないように,道具を整備したり改造したり。
溶接のスピードが速い人,実は用意周到。
あれ〜あの道具どこやったかな…
ガラス曇るなぁ〜…
ってことが,ないようにしよう。
溶接のスピードを上げると失うものもある
溶接のスピードを上げると失うもの…それは,
- 純粋な楽しさ
あのイチローも「好きなことを仕事にすると大変ですか?」という問に対して,
「僕は野球をプロとしてやってきたけど、⼩学⽣、中学⽣の時とはまったく違って、楽しさはゼロだった」
「プロになるとやっぱり責任がついて回って、もちろんうまくいった時の快感はあるけど、基本的には失敗と向き合う時間になる。だからもう⼀度『野球選⼿になりたいか』と僕は聞かれたら『やりたい』とはっきり⾔うことはできない。それがプロの世界だということは、知っておいてもらいたい」
と答えている。
日に日に成長していく満足感,達成感。
早く一人前になりたい!と願う向上心。
日本中の溶接工と語り合いたい好奇心。
スピードを上げれば上げるほど失っていく。
溶接のプロとしてお金をもらう以上,責任がついて回わる。
- 納期の厳守
- 工程の短縮
- 溶接欠陥を出せないプレッシャー
- 製品の仕上がり具合
失敗の原因を消していく作業。
乗り越えた時の達成感は凄いものがあるが,「楽しいか?」と聞かれれば,たしかに即答できない。
溶接のスピードを上げれば上げるほど,『純粋な楽しさ』は失くなっていくことは紛れもない事実としてある。
閉塞感を感じたら挑戦してみること!
楽しさが失くなっていく反面,周りも見えるようになり余裕ができる。
スピードを上げた後は,後輩の育成やさらなる技術力の向上,溶接分野以外への挑戦などを始めることをおすすめする。
昔の気分も取り戻せるし,やりがい・生きがいも感じるようになるはずだから。
俺が,副業や溶接分野以外での挑戦を始めたのも,そんなタイミング。
- ブログ
- トラリピ
- つみたてNISA
- アロマテラピー
- プログラミング
今では,副業として月5万円は稼げるようにまでなった。
スピード!スピード!スピード!と追い求め一人前になったら,違う景色を見てみるのもいいかもしれない。
溶接のスピードを爆上げする5つの施策:まとめ
- スピードを意識する
- 高電流に対応する
- 体勢をなるべく変えない
- 体力
- 道具の整備・改造
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