配管の記号はややこしい
初心者溶接工が必ずつまずくのが配管の記号。溶接が仕事なのに配管の記号でつまずいてやる気をなくし,溶接業務に支障が出てしまう。【配管の基礎知識】シリーズはそんな初心者溶接工のために始めたシリーズ。今回で3回目となる。
ステンレス配管のTP-AとTP-Sの違い,STPG370「SとE」の違いを知りたい方は過去記事を読んでほしい。配管の種類や記号は多種類あり一気に覚えるのはかなり困難だが,一つの種類を深く知ることによって応用がきくこともあるので初心者溶接工の内は,焦らず確実に理解していって欲しい。
では,Sch(スケジュール)について解説していこう。
Sch(スケジュール)とは?
Sch(スケジュール)とは?
配管の肉厚を表す呼称で,肉厚はスケジュール番号によって決められている。
配管の選定には,長さ,サイズ(口径),厚み(肉厚),材質が必要になる。Sch(スケジュール)とは,厚み(肉厚)を表している。
Schの後にSch40とかSch80とか番号が必ず付いている。番号が肉厚を表していて,JIS規格で決まっている。Schの後に付く番号が大きくなればなるほど,肉厚が厚くなり高圧に耐えられる。
配管肉厚の寸法体系には、スケジュール番号方式(Schedule No.方式)、ウエイト方式、ミリメートル方式がある。通常はスケジュール番号方式だが,最近ステンレス配管はミリメートル方式が多い。
ミリメートル方式とは・・・配管の厚みをミリで表す方式のこと。【厚み4mm】とか【t=2mm】などがミリメートル方式。
ウェイト方式とは・・・MSS(Manufacturers Standardization Society)(メーカー標準化協会)というアメリカの協会がだした,パイプの単位長さ当たりの重量を目安とした配管肉厚のシリーズ。3種類あるらしいが,あまり使うことはなく覚える必要もない。
Sch(スケジュール)の規格は何?
Sch(スケジュール)の規格はJIS規格やASTM規格で規定されている。
JIS規格とは・・・日本工業規格は、工業標準化法に基づき、日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり、日本の国家標準の一つ。
ASTM規格とは・・・ASTM規格は、世界最大規模の標準化団体であるASTM International(旧称 American Society for Testing and Materials:米国試験材料協会)が策定・発行する規格。
規定されているパイプ肉厚寸法表が大変便利なのでリンクさせてもらった。
現場での実際の呼び方
現場の実務レベルでは,
「スケハチ」・・・Sch80
「スケトー」・・・Sch10
「スケヨン」・・・Sch40
などと言うことが多い。
最初は呪文のように聞こえるはず。「スケヨンのロクブのシーム管でクロ,2000!」とか。おおおーーー呪文やん!!!って感じだった。
噛み砕くと「スケージュール番号No,40で口径は20A,電縫管で黒管(生)で2mを切って持ってこい!」となる。
Sch(スケジュール)の種類
Sch(スケジュール)は2種類あり,
・ノルマルスケジュール系
・スインスケジュール系
違いはSch(スケジュール)のあとに「S」がついているかいないかだけ。
例
ノルマルスケジュール系・・・Sch40,Sch80,Sch,100…
スインスケジュール系・・・Sch40s,Sch80s,Sch100s…
オーステナイト系ステンレス鋼管は、引張強さが非常に大きく、同じスケジュール番号の肉厚では強度的に余裕がありすぎて不経済であるため、同じスケジュール番号でも若干肉厚を薄くした番号を設けたものが、スインスケジュール系となる。
スケジュール番号のあとに「S」を付けて表す。
Sch(スケジュール)と溶接の関係
Sch(スケジュール)番号はすごく大事で,現場に直接行って材料を見なくてもSch(スケジュール)番号を聞けば電流や積層方法,溶接にかかる時間などがすぐにイメージできる。
Sch(スケジュール)番号が大きくなればなるほど,いろんな要素(焼鈍,余熱,材質,圧力など)が絡み合うので注意が必要。
まとめ
Sch(スケジュール)とは配管の肉厚のことで,JIS規格によって規定されている。現場では「スケハチ」「スケヨン」など略称で呼ぶことが多いので注意しよう。
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