TN-P JIS溶接資格で困ってないか?
この記事は,溶接工歴25年の管理人が,JIS溶接試験TN-Pのやり方(要領)についてまとめた記事。
TN-P(JIS溶接技能者資格)が上手くいかない。
他の溶接工のやり方がみたい。
TN-Pのやり方・コツ教えます!
最短距離で合格できるはず参考にして。
本記事の内容は以下の通り
・TN-P(JIS溶接技能者)のやり方(要領)がわかる
・裏波溶接のコツがわかる
・学科試験合格するためのテキスト(書籍)がわかる
TN-Pを初めて受験する人,なかなか上手くできない人,他の溶接工がどんなやり方してるか見てみたい人はぜひ読んでほしい。
固定配管溶接の模擬試験として多くの人が受験している資格。
JIS溶接試験のTN-P。
溶接工を職業とするなら2年目ぐらいで取得しときたい。
俺はTN-Pを受験するときに,会社に教えてくれる人がいなかったため苦労した。
練習するにも治具がいるし,試験要領もわからない。
ネットの情報だけが頼りで色々なサイトを読み漁った。
この記事を読めば最短距離でTN-Pに合格できるはず。
では,TN-Pを実践しながら見ていこう!
TN-P溶接試験材料
材質はSUS304。
長さは150mm。
開先角度は45°。
ルート面は0.5mm。
口径は100Aの3t。
写真のような材料を突き合わせで溶接する。
SUS304配管は高価なため
両開先で製作することをオススメする。
両開先だと1つの練習材料で2回練習できる。
TN-P溶接試験の条件
ルート間隔は0mm
ルート間隔は0mm。
現場ではルート間隔を3〜4mmぐらい空けるが,試験のときはいわゆる共つけ(ナメ付け)で溶接する。
理由はバックシールを確実にしたいのと裏波が出しやすいから。
ルート面(フェイス)は0.5mm
ルート面(フェイス)は0.5mm。
気持ちグラインダーで舐める程度。
人によっては1mm〜2mmとる人もいる。俺はルート面はあまりとらない。
理由は裏波が出しやすいから。
溶接電流
1層目:85A(水平固定),95A(鉛直固定)
2層目(仕上げ):85A(水平,鉛直共に)
溶接棒 TG-S308
1.6mmが最適。
バックシールドガス量
5mm/min〜7mm/min
TN-P溶接条件まとめ
ルート間隔 | 0mm(ナメ付け) |
ルート面(フェイス) | 0.5mm程度 |
溶接電流 | 1層目:85A(水平),95A(鉛直) 2層目:85A(水平,鉛直) |
溶接棒 | 1.6mm |
バックシールドガス流量 | 5mm/min〜7mm/min |
溶接条件は人それぞれでいい。
重要なのは自分で溶接条件を詰めていく作業。
・もっと電流を上げれないか?
・1層で仕上がるんじゃないか?
など。
疑問→実証を繰り返していくことで,本当の腕が磨かれる。
TN-P溶接試験は仮付けが合否を分ける。仮付けのコツ
溶接はほとんど仮付けの時点で終わっている。
仮付けがうまくいけば本溶接はだいたいうまくいく。
段取り8分。
TN-P合格は仮付けで決まると言っても過言ではない。
写真のような,仮付けマーキング用のシートを作った方がよい。
試験材に仮付け位置をマーキングする。
A,B,C,Dの位置4箇所に仮付けをする。
①,②,③,④の位置が試験片採取位置。
チャンネルに試験材を乗せ配管の肌合わせを行う。
仮付けは真下の位置Aを最初に仮付けする。
次にCの位置を決める。
内面の目違いを確認しB,Dの順番で仮付けする。
仮付け時のコツ及び注意点
・配管内面に目違いがないことを確認する。
・仮付け位置が間違ってないことを何回も確認する。
・1箇所仮付けすると反対側が目違いしようとするので,0.5mmの厚さのライナー(写真)を挟んで仮付けする。
・仮付け量はなるべく小さく(開先内で仮付けを終わらす)。
・仮付け時はバックシールをしないので溶かしすぎに注意する。
仮付け終了したら試験官に刻印を打刻してもらう。※各都道府県の溶接協会によって違うかもしれないので,しっかり試験前の説明を聞いて欲しい。
刻印を忘れたり自分の勝手な解釈で試験を行うと失格となるので注意。
刻印打刻が終われば治具にセットする。
セットは溶接する位置が決まるため慎重に。
水平と鉛直を間違えないようにセットする。
仮付けから治具にセットまでの練習がいるぐらい俺はここまでを重要視している。
だいたい試験に落ちる人は,段取りをおろそかにしていることが多い。
TN-P溶接試験 1層目。裏波溶接のコツ。
1層目は共つけ(ナメ付けとも言う)で行う。
ローリングで行うのが一番簡単。
ゆっくりローリングすれば裏波は出る。※プールがスッと裏側に落ちるような感じがしたら進んでいく←微妙なので練習あるのみ!
穴空くのを怖がって早く進む人がいるが,
裏波はなるべくゆっくり溶接しないと形成されない。
(俺の電流程度85A〜95Aでは穴は開かない)
溶接速度を上げるのなら,電流を上げるかだ。
(100Aぐらいで溶接する人もいる)
ローリングできない人は練習あるのみ!!
「浮かし」でも全然できるが,体勢が辛いので初心者はローリングをオススメする。
1層目裏波溶接のコツ及び注意点
・溶接速度に注意する(なるべくゆっくり)←プールをよく観察すること!
・穴を開けないこと!
・バックシールドを確実に!(バルブやホース確認)
・なるべく試験片採取位置で溶接を止めない!
・溶接棒は入れない!(持ってるだけ)
・バックシールドガスを多く入れすぎない(裏波が凹む)
・開先幅でローリングは抑える(2層目が幅広になるのを防ぐため)
1層目終了後。(水平)
1層目終了後。(鉛直)
1層目終了したら溶接ビードの真ん中にうっすら線が見える。これが裏波が出ているサイン。
安心して2層目に望んで欲しい。
しっかりSUSのワイヤブラシで1層目を磨く。
できれば配管が熱くなってるので冷ましたい。
濡れウエス等で溶接ビードを巻くのもあり。
SUSは温度が高くなると溶接しずらいので,なるべく手で触れるぐらいまでは冷やしたい。
SUSはビードが開先幅以上に広がり始めたら危険なサイン。
TN-P溶接試験 2層目。
2層目は仕上げ層。ローリングで仕上げを行う。
2層目のコツ及び注意点
・1層目が終われば材料を冷やす!(酸化しづらい)
・溶接棒を入れすぎないこと!(余盛は最小限にする)
・バックシールドガスは入れっぱなし!
・試験片採取位置にクレーターを作らない!
・1層目が終わったらステンレス製のワイヤブラシで磨く!
・2層目が終わったら外観確認!(磨きも忘れずに!)
2層目終了後。(水平)
2層目終了後。(鉛直)
裏波の確認。水平。(写真撮りづらいので輪切りにした)
裏波の確認。鉛直。
※ビードが黒ずんでいるのが気に入らなかったので,やり直したのが下記の写真。
鉛直(横向き溶接)
鉛直(横向き溶接)
水平(縦向き溶接)真下から半分。
水平(縦向き溶接)真横から半分。
裏波は…ちょっと気に食わない…。
俺は溶接工になったばかりの時,10回練習して10回成功するまで体に染み込ませた。
試験会場ではいつもと同じ溶接機ではないため,イレギュラーが起こる可能性が高い。
そんな時の為にいろんな練習をしておくことが大事。
穴があいてしまったり,裏波が出なかったり。
慌てず対処することが大事。リカバリーは可能だ。
TN-P学科試験について。
TN-Pはステンレス溶接に分類される。
なのでTN-Fで学科試験を受けて合格している人は学科試験は免除される。
T-NFを受ける際にはこの本で勉強すればほぼ合格するだろう。
巻末の過去の試験問題を1回〜2回程度やれば問題ない。
ほぼ同じ問題なので問題なく合格できるだろう。
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TN-P溶接試験を極めれば腕は上がる。
合格することが前提条件だが,結局現場でも配管溶接する時は同じことをする。
いかに綺麗に早く仕上げることができるか?
効率や段取りを考える。
うまくいくまで追求する。
100Aで3tだったら溶接時間は約15分程度。
これをいかに縮めるか?綺麗に仕上げるか?
練習時にもっと条件を悪くするのもアリ。
床面から15cmの位置でとか,狭隘部をわざと作り出したりとか。
試験以上な条件で練習することが大事。
TN-Pタイムアタックと称して競ったり,ビードの綺麗さを極めたり。
ちなみにTN-Pを仕上げるのに10分ぐらいまでには上達した。
そんな練習してると腕が上がり自然と試験本番では楽勝。
参考にしたサイト。
わかりやすく解説してあるサイトは少ないが,俺が参考にしたサイト(ページ)にリンクを貼っておくので,一度見ておいて損はない。
TN-P試験を受験するにあたって参考になるサイトばかりだ。
勝手にリンク貼らせてもらった。
TN-Pを受験する人に少しでも役立てたら最高。
ぜひ参考にしてほしい。
いろんな溶接条件があると思うので,コメント欄やツイッターで意見を聞かせてくれたら嬉しい。
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