Tig溶接には溶接姿勢が色々ある。
溶接姿勢には
F(下向き)フラット
V(縦向き)バーチカル
H(横向き)ホリゾンタル
O(上向き)オーバー
の4つの姿勢がある。
溶接姿勢は溶接の品質に大きな影響があり,
溶け込み具合やビード形状に違いがでるため,
なるべくいい溶接姿勢で溶接することが必要。
工場内では品物を動かすことができるため
溶接姿勢はあまり問題にはならないが,
現場では姿勢が制限されるため,
全ての姿勢で溶接できる技術がないと現場で苦労する。
今回はTig溶接における溶接姿勢の特徴と注意点を記事にしたいと思う。
Tig溶接 溶接姿勢F(下向き)の特徴と注意点。
F(下向き)溶接とは
一般的には下向姿勢での溶接が最も作業性、効率などの面で優れているため、原則として、下向姿勢での溶接が可能であれば、下向姿勢での溶接を行う。
Tig溶接でも同様でなるべく下向きで溶接したい。
体も自然な体勢だし,品物も目視が容易なため作業効率もいい。
いかに下向きで溶接するか?も重要な溶接工の腕になる。
経験が少ない人や不慣れな人が現場で配管などを溶接する時は,
なんでわざわざここで現場溶接にしたの??って現場は多い。
Tig溶接 F(下向き)の特徴。
溶融池の大きさ | 大きくて見えやすいため溶接速度を制御しやすい。 |
---|---|
溶け込み深さ | 標準的で欠陥になりずらい。 |
ビード形状 | 見えやすいためビードは綺麗になりやすい。 |
裏波 | 標準的で垂れやすい。 |
作業効率 | 最も作業しやすい。 |
Tig溶接 F(下向き)の注意点。
・溶融池が広がるためビードの幅に注意。
・溶融池が広がるため余盛りの量に注意。
・裏波が垂れやすいので溶接棒の送り量に注意。
Tig溶接 溶接姿勢V(縦向き)の特徴と注意点。
V(縦向き)溶接とは,
上進と下進があり一般的に上進で溶接する。別名「カチ上げ」といい現場でも多い姿勢。
溶け込みが深く,肉付けも簡単なのでわざと「カチ上げ」で溶接する所もある。
姿勢も下向き同様,楽。
現場では下進溶接はほとんど選択しない。
手すりなどは下進でやるときがある。
Tig溶接 V(縦向き)の特徴。
溶融池の大きさ | 標準的で見えやすいため溶接速度を制御しやすい。 |
---|---|
溶け込み深さ | 深い。欠陥も発生しずらい。 |
ビード形状 | 凸形状で垂れやすい。 |
裏波 | 見えやすいため出しやすい |
作業効率 | 下向きよりは劣るが標準的。 |
Tig溶接 V(縦向き)の注意点。
・ビード形状が凸形状になりやすいため溶接棒の送り量に注意。
・溶け込みが深いためアンダカットに注意。
・下進溶接は溶け込みが浅いため注意。
Tig溶接 溶接姿勢H(横向き)の特徴と注意点。
H(横向き)溶接とは,
溶接の進行方向は右から左,または左から右。ビードを重ねることが多い溶接。
横向き溶接も現場では多い姿勢。
溶接の肉が垂れてしまうため多層盛りになる。
Tig溶接 H(横向き)の特徴。
溶融池の大きさ | 標準的で見えやすいため溶接速度を制御しやすい。 |
---|---|
溶け込み深さ | 標準的 |
ビード形状 | 上側はアンダカット,下側はオーバーラップになりやすい。 |
裏波 | 見えやすいため出しやすい。 |
作業効率 | 下向き,縦向きよりは効率が悪い。 |
Tig溶接 H(横向き)の注意点。
・多層盛りになるので溶接欠陥に注意。
・ビード形状を揃えるのに技術が必要なため注意。
・下向きや縦向きに比べて時間がかかるため工程に注意。
Tig溶接 溶接姿勢O(上向き)の特徴と注意点。
O(上向き)溶接とは,
天井を溶接するような姿勢。一番難易度が高い。
なるべく現場ではしたくない姿勢。
重力に逆らうため体勢の制御が困難。
裏波も凹みやすくかなりの熟練を要する。
Tig溶接 O(上向き)の特徴。
溶融池の大きさ | 小さくて溶融池が先行してしまうときがある。 |
---|---|
溶け込み深さ | 浅い。重力によって垂れてくる。 |
ビード形状 | 凸ビードになりやすい。 |
裏波 | 凹みやすく出しづらい。 |
作業効率 | 悪い。 |
Tig溶接 O(上向き)の注意点。
・裏波を凸にするにはかなり熟練しないと厳しい点に注意。
・溶け込みが浅いので溶接欠陥に注意。
・ビード形状も熟練を要するため注意。
・時間がかかるうえに溶接欠陥が発生しやすいため注意。
まとめ
溶接姿勢は溶接の出来を左右する重要な項目。
現場溶接ではどういう姿勢を選択するかで効率や検査合格率が変わる。
各姿勢の特徴や注意点を考慮し,選択してほしい。
溶接工は上向き溶接が苦にならないぐらいまで練習したい。
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