材質 SS400とは?【意味,S45C・SS41との違い】※失敗談あり
材質 SS400って何?
意味や規格,S45C・SS41との違いなどについても知りたい。
了解!
材質 SS400について,溶接歴25年の現役溶接工が丁寧に解説します。
本記事の内容は以下の通り
・材質 SS400とは何かわかる。←【失敗談あり】
・材質 SS400の意味,規格,S45C・SS41との違いについてわかる。
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格はJIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するにベテラン溶接工で溶接の専門家。
数々の溶接経験から【材質 SS400】を溶接することが多く,初心者の頃に感じた疑問を記事にまとめた。
この記事は【材質 SS400】に関する疑問を完全解説しており,必ず疑問は解決すると自負している。
材質 SS400とは?【SS・400の意味】
SS400とは,「一般構造用圧延鋼材」(いっぱんこうぞうようあつえんこうざい)のこと。
SSとは,「Steel Structure」(スティール・ストラクチャー)の略。
400とは,「下限の引張り強さ 400N/m㎡」を表す数字。
SS400は建設業界では超がつくほどメジャーな材料・材質。
鋼板,鉄骨(H形鋼,C形鋼など),鉄筋,丸棒,フラットバー(平鋼),アングル(等辺山形鋼)などいたるところで使用されている。
「価格の安さ、入手しやすさ,即納性」などから材料・材質選定で真っ先に選択肢として上がる。
溶接性も一般的な厚み(12t程度まで)なら特に問題はないので,SS400とSS400の溶接はごく一般的に行われている。※溶接棒は軟鋼用を使う(TG-S50,LB-26,B-14など)
建設業界ではSS(エスエス)と言えば,SS400のこと!
材質 SS400の規格【機械的性質,化学成分,密度,】
SS400はJIS G 3101に規定されており,機械的性質,化学成分,密度は下記の通り。
SS400の機械的性質
名称 | 種類の記号 | 降伏点又は耐力(N/m㎡) | 引張り強さ(N/m㎡) | |
鋼材の厚さ(mm) | ||||
16未満 | 16以上40以下 | |||
一般構造用圧延鋼材 | SS400 | 245 | 235 | 400〜510 |
※JIS G 3101より抜粋。
引張強さが400~510N/m㎡のものをSS400と呼ぶ。
設計では「降伏点又は耐力N/m㎡」が重要で,降伏強度は16mm以下の場合245N/m㎡だが、実務では235N/m㎡を用いる。←安全方向の配慮。
また厚みが40mm〜100mmまでは、215N/m㎡が降伏点となる。
下記を参考にしてほしい。
・16mm以下
・16mmを超え40mm以下 降伏点又は耐力は235N/m㎡
・40mmを超え100mm以下 降伏点又は耐力は215N/m㎡
SS400は板厚が厚くなれば、「降伏点又は耐力」は小さくなる!
SS400の化学成分
名称 | 種類の記号 | 化学成分 | ||||
C | Si | Mn | P | S | ||
一般構造用圧延鋼材 | SS400 | ー | ー | ー | 0.050%以下 | 0.050%以下 |
SS400の化学成分規定は、リン、硫黄ともに、0.050%以下。
炭素(C)・・・強度、硬さは主にこの炭素量で決まる。
ケイ素(Si)・・・降伏点(耐力)と引張強さの二大指標に影響する。
マンガン(Mn)・・・ねばり強さの指標である靭性(じんせい)に影響する。
リン(P)・・・「低温脆性」に寄与する有害元素の一つ。
硫黄(S)・・・多ければ多いほど溶接性が悪い。
炭素含有量についてSS400はJIS規格上の規定がない。
実際のSS400の炭素含有量はは,およそ0.15~0.20%の物が多く、一般に軟鋼(低炭素鋼)と呼ばれている。
SS400の密度
重さを考える時に重要なのが密度。
SS400の密度は「鉄」の密度である7.85g/cm3。
7.85g/cm3=7850kg/m3=7.85×10^-6 kg/mm3=0.00785g/mm3=78.5kN/m3は全て同じ。
ややこしいが間違いないようにしよう。
ちなみに水の密度は「1g/cm3」だよ!
材質 SS400と【S45C・SS41との違い】
SS400とS45Cの違い
SS400とS45Cの違いを下記の表にまとめたので参考にしてほしい。
名称 | 価格 | 熱処理 | 炭素含有量 | 使用用途 | ||
SS400 | 一般構造用圧延鋼材 | 安い | 不可 | 0.2%ほど | 引っ張り強さが求められる場所 | |
S45C | 機械構造用炭素鋼鋼材 | 高い | 可 | 0.45%ほど | 硬さが求められる場所 |
ザックリこんな感じ。
SS400は熱処理が不可,硬さが足りない点から二次的製品(プレート,金具,小梁など)として使われる場合が多い。
S45Cは熱処理が可能で,炭素含有量が規定されていることから硬さが必要な場所(機械部品や部材)に使われる。
S45Cの「SC」とは、「Steel Carbon(炭素)」の頭文字。
「S45C」の「45」は、炭素含有量が何%であるかを表している。
S45Cの場合は、炭素含有量は0.42%~0.48%と0.45%前後。
S45Cは「機械構造用炭素鋼鋼材(きかいこうぞうようたんそこうこうざい)」というJISで規定されている。
溶接式差込みソケット(SW)はS25Cが多いよ!
SS400とSS41の違い
SS400とSS41は同じ。
1994年のJIS改正以前は、現在のSS400は「SS41」と呼ばれていた。
SI単位系(国際単位系)に変わり表記が変わっただけ。
天気の気圧がmb(ミリバール)がhp(ヘクトパスカル)となったように。
STPG370も同様で昔はSTPG38だった。
現場のオッチャンはまだ41(ヨンイチ)とか38(サンパチ)と言っている人も多い。
圧力のMpa(メガパスカル)表記は,いまだにしっくりこない…。
5kg/mm2とか10kg/mm2の方がしっくりくるのは俺だけかな…。
失敗談:エスエスと言えばSS400のことだったのね…。
現場ではSS400のことを単にSS(エスエス)と呼ぶ場合がほとんど。
エスエスのアングル持ってこい!
エスエスの板で作ってこい!
とか。
きっちり(えすえすよんひゃく)と呼ぶ現場職人は,俺の周りではいない。
当然そんな呼び方は素人にわかるはずもなく,今思い出しても恥ずかしいが俺はエスエスのことをXLとかMとかのサイズだと思っていた…。
SS(エスエス)サイズですね笑笑
ある日親方に,
この隙間をエスエスの丸棒で埋めて溶接しといてくれ!
と言われ,エスエスのことをサイズだと思っている俺は,
なるほど…。
細い丸棒(エスエスサイズ)を何重にも重ね溶接するってことだな!
と思い,かなり時間をかけて細い丸棒(2Φぐらいのエスエスサイズ)を溶接していた。
2Φなのですぐ溶け落ち,重ね本数も多い。
案の定もがいている姿を親方に見つかり,
エスエスはサイズじゃねぇーーー!
SS400のことじゃボケがーーーー!
俺が1時間かけてもがいていた箇所を,親方は太いSS400の丸棒で5分で終わらせていった…。
エスエスってサイズじゃなかったのね…。
[jin_icon_info color=”#e9546b” size=”18px”]教訓
エスエスとは現場ではSS400のこと。
サイズではない。
材質 SS400とは?【意味,S45C・SS41との違い】:まとめ
SS400とは,「一般構造用圧延鋼材」のこと。
400は引っ張り強さを表す。
炭素含有量の規定はない。
現場ではSS(エスエス)と言えばSS400のこと。
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