【溶接の目視検査】で指摘!を回避する方法【検査屋の目線が必要】
※JIS溶接試験の外観試験による判断基準は,下記の記事
で解説!
溶接の目視検査で,また指摘受けちゃいました…。
目視検査について詳しく知りたい。
溶接の目視検査で,指摘受ける人には特徴があるよ。
目視検査について詳しく解説するね!
本記事の内容は以下の通り
- 溶接の目視検査とは?
- 溶接の目視検査で指摘!を回避する方法【4つある】
- 溶接の目視検査はいつやるの?基準は?
- 溶接の目視検査でのちょっといい話
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格はJIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するにベテラン溶接工で溶接の専門家。
本記事は,現役溶接工の立場から溶接の目視検査について,指摘を受けないようにするにはどうしたらいいかまとめた記事。
※「目視検査が憂鬱…」と悩んでいる溶接初心者には有益なので,ぜひ読んで欲しい。
溶接の目視検査(VT)とは?
目視検査とは,非破壊検査の種類の内の一つ。
非破壊検査では,最も一般的な検査。
VT(ブイティー)Visual Testing(ビジュアルテスティング)と現場では言うことが多い。
言葉の通り,目で見て判断する検査。
目視で溶接を検査し判断する。
非破壊検査には他にも,RT(放射線透過試験),UT(超音波探傷試験),PT(浸透探傷試験),ET(渦流探傷試験),MT(磁粉探傷試験)などがある。
実際の溶接検査は,目視検査(VT)のみで終わることは稀。
目視検査(VT)+放射線透過検査(RT)+浸透探傷検査(PT)など,他の検査と併用することが多い。
溶接の目視検査で指摘!を回避する方法
「溶接の目視検査で指摘!を回避する方法」とは?
下記の通り。
- 現場の4S
- 溶接ビードの清掃
- 溶接ビードの整形
- 目視検査基準の把握
詳しく解説していこう。
1.現場の4S
4Sとは「整理・整頓・清掃・清潔」のこと。
なぜ4Sが重要かと言うと,現場を汚くする溶接工って溶接自体も汚いと思われるから。
- アークストライクも気にしなさそう…
- スラグも取り除かそう…
- 開先面にゴミがあってもそのまま溶接しそう…
検査屋さんに上記のように思われてしまうと,怪しまれながら検査されてしまう。
現場の整理整頓が悪いばっかりに,検査で指摘を受ける可能性が高まる。
検査屋さんに気持ちよく作業してもらえるように現場の4Sは重要。
最終的に自分のためになるので損はないはず。
2.溶接ビードの清掃
現場の4S同様,溶接ビード周りも清掃しよう。
- スパッタつきっぱなし
- スラグかぶったまま
- ワイヤブラシなどで磨いていない
- ビード周辺の汚れ
などは,目視検査で指摘されてもしょうがない。
ビードの良し悪しよりも,丁寧に仕事しておけばそれなりに見えるもの。
3.溶接ビードの整形
溶接ビードの整形も目視検査を通すためには重要。
- クレーターを滑らかに仕上げる
- ビードのキワをグラインダーやヤスリなどで揃える
- 凸凹ビードを滑らかに仕上げる
- 余盛り高さを揃える
グラインダーやヤスリを駆使して,限りなく最高のビードに揃えること。
俺が溶接初心者の頃は,
トーチorホルダー持ってるよりもグラインダー持ってる方が長いな!
とよく笑われたが,目視検査で指摘されて手直しする方がもっと時間かかる。
溶接ビードの整形大事。
4.目視検査基準の把握
「目視検査基準の把握」は当たり前だが,意外とやってない溶接工が多い。
余盛り高さはいくつまで?
ビード幅に規定ある?
脚長は?
うっ…。
テキトーじゃダメか…。
- 数値は?
- 判断基準は?(JIS?電事法?ガス?石油?)
- 法律は?
- 規則は?
現場の場数をこなせば自然と覚えるが,慣れないうちは自分で測ってみて感覚を養うのがベスト。
スラスラっと何も見ずに基準が言えれば,溶接の腕も比例して上がってるはず。
目視検査基準は押さえておくべきポイント。
つまり…溶接工でも検査屋さんの目線が必要
溶接工は溶接して終わり…ではない。
溶接前から溶接終了まで,検査屋さんと協力しながら作業が終わる。
つまり…検査屋さんが仕事しやすい溶接を心がければ,自然と目視検査での指摘は減っていくはず。
ヤバそうな溶接はパッと見て大体わかる。
自分が検査屋だったら…の視点をたまに取り入れるのをおすすめする。
溶接の目視検査はいつやるの?基準は?
溶接の目視検査はいつやるの?
溶接の目視検査のタイミングは溶接後のみだと思われがちだが,実は違う。
溶接の目視検査のタイミングは3つある。
- 溶接前・・・開先形状・寸法,開先面の状態,さび・変色・汚れなどの有無など
- 溶接作業中・・・電流,電圧,溶接棒,ビードの状態など
- 溶接完了後・・・外観,余盛の形状・寸法,アンダカット,脚長,角変形など
上記の3つのタイミングで目視検査をする。
溶接の目視検査の基準は?
溶接の目視検査の基準については,
- 次にどんな検査をするのか?
- どんな構造物になるのか?
- 判断する法律や規則はあるのか?
によって変わるが一般的には,
- ビード幅
- ビード高さ
- のど厚不足
- 脚長不足
- 裏表ビードの凸凹
- ビード幅の不揃い
- アンダカット
- オーバラップ
- 連続的凹み(裏波)
- 局部的凹み(裏波)
- 溶け込み不良
- 割れ
- 貫通孔
- 角変形
- 座屈変形
- 目違い
などを目視検査及び計測で判断する。
こんなにも項目あるんすか!
検査屋さん一瞬で『ダメっ!』判断してましたけど…。
ベテランの人だと計測するまでもなく,見て大体わかるよ!
特にお前は怪しまれてるからな(笑)
溶接の目視検査でのちょっといい話
溶接の目視検査の記事を書いてたら,若かりし頃のちょっといい話を思い出したので,しばしお付き合いください。
あれは俺が23,4の頃だった…。
俺は覚えたてのローリング法で初のRT仕様の配管を溶接し,イキって検査屋さんに連絡した。
溶接終わったんで,目視検査頼むわ!
しばらくすると…検査屋さんから連絡があり,
とのこと。
放射線検査(RT)仕様の配管溶接の余盛り高さは,厳密に決められている。
余盛り高さが基準値以上あるとレントゲンフィルムに内部欠陥が鮮明に写らず,欠陥を見落とす可能性が出てくるからだ。
検査屋さんに余盛り高さの基準値を聞くと,2mmまでに押さえて欲しいとのこと。
俺の溶接ビードの余盛り高さは4mm前後…。
マジで…10箇所以上あるじゃん…
今から削ってたら,親方にブン殴られる可能性が…。
と作業時間と親方の恐怖に怯えブツブツ呟いていると…
手伝いますよ!
3mmにしましょう!
1mm削るぐらいすぐでしょ!
神…降臨!(涙)
それ以来,判断基準,他人への言葉遣い,仕事の丁寧さ,検査屋さんへのリスペクトを忘れたことはない。
【溶接の目視検査】で指摘!を回避する方法:まとめ
目視検査とは,非破壊検査の種類の内の一つで,最も一般的な検査。
目視検査で指摘を受けないためには,
- 現場の4S
- 溶接ビードの清掃
- 溶接ビードの整形
- 目視検査基準の把握
が必要。
検査屋さんの目線を持ち,溶接前〜溶接後まで作業することが大事。
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