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【書評】スティルライフ【疲れた体・すさんだ心】に染み込むような文章

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【書評】スティルライフ【疲れた体・すさんだ心】に染み込むような文章

 

溶接工
溶接工

仕事が猛烈に忙しい時,ふと立ち止まりたくなる時ありませんか??

3月初めの俺がそうだった…。

迫る納期,上手く溶接できない自分の技術力のなさ,愚痴ばかりの同僚。

毎日,自宅に帰るのは夜の10時近く。

朝は早出で7時からの作業。

それが2週間近く続いた。

職場とベッドの往復。

迫る納期のプレッシャーでベッドに入っても仕事のことばかり考えていた。

溶接工
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なんか疲れるな…。

そんな時,なぜか近所のコンビニの書籍コーナーに,池沢夏樹さんの「スティルライフ」が置いてあった。※芥川賞が先日発表された影響かもしれない。そういえば他の受賞作品も並んでいた。

いつもは実用本ばかりで,小説なんか読まない俺だが,この時は疲れからくる現実逃避願望のせいか表紙からパラパラと数ページめくってみた。

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。世界と君は、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。

この文章を読んで気づいた時には買っていた。

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今回の記事は「スティルライフ」を読んでの感想。

スティルライフ あらすじ・総合評価

あらすじ

ある日,ぼくの前に佐々井が現れてから,ぼくの世界を見る視線は変わっていった。

ぼくは彼が語る宇宙や微粒子の話に熱中する。

佐々井が消えるように去った後も,ぼくは彼を,遥か彼方に光る微小な天体のように感じるのだ。

染色工場で佐々井と出会い,班長に怒られている「ぼく」を助けてくれたことから仲が良くなる2人。

ある日,佐々井は染色工場を辞める。

「ぼく」はそれなりに普通の日々を送るが,佐々井から連絡があり,あるプランを持ちかけられる。

 

総合評価 

星は満点。

・サクッと1時間程度で読める長さであること。

・底辺人間の気持ちを汲み取っており,「わかるわかる」と共感する部分が多いこと。

・表現方法が独特で今まで読んだことない感覚をもたらしてくれること。

以上の3点が強烈すぎて星は満点。

池沢夏樹さんでググると文体が綺麗とか独特とか書かれているが,まさにその通り。

普通の文体ではないし,詩的な感覚がある。

またそれが【疲れた体・すさんだ心】に心地良くてあっと言う間に池澤ワールドに入り込める。

当然小説としてもおもしろい。

※ちなみに題名の「スティルライフ」とは訳すと「静物画」のこと。世界は「静物画」のよう(解釈しだいでどうとでもなる)だからこの題にしたのか,他の意図があるのかはよくわからない。

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スティルライフのここが良かった!

スティルライフの良かった点は,

  1. サクッと1時間程度で読める長さであること
  2. 「わかるわかる」と共感する部分が多いこと
  3. 文体が詩的で想像したことない世界へ連れていってくれること

 

サクッと1時間程度で読める長さであること

スティルライフは1時間程度でサクッと読める。

【疲れた体・すさんだ心】にはすごく重要。

だって起きてる時間ほぼ仕事なのに長編小説とか拷問に近い。

その点スティルライフは寝る前や昼休みにサクッと流し読みできるので良かった。

 

「わかるわかる」と共感する部分が多いこと

冒頭の有名な文章もそうだが,俺が特になんかわかるな…と思ったのは,

寿命が千年もないのに、ぼくは何から手をつけていいかわからなかった。

何をすればいいのだろう。

仮に、とりあえず、今のところは、しばらくの間は、アルバイトでもして様子を見る。

そういうことだ。

十年先に何をやっているかを今すぐに決めろというのはずいぶん理不尽な要求だと思って、ぼくは何も決めなかった。

社会は早く決めた奴の方を優先するらしかったが、それはしかたのないことだ。

ぼくは、とりあえず、迷っている方を選んだ。

この表現わかるなーーー。

仮に,とりあえず,今のところは,しばらくの間は…。

卒業したら就職。

この当たり前のレールに違和感がある人は多いと思う。

主人公の「ぼく」もそうだと思う。

俺もそうだし,たぶん他の人もそう。

けど社会に流され就職を決めていく。

なんかそんな社会の目に見えない圧力を感じる感覚がよくわかる表現で好き。

 

文体が詩的で想像したことない世界へ連れていってくれること

想像しながら「スティルライフ」を読んでいると,今まで自分では想像すらしなかった世界へ連れていってもらえる。

例えばこんな感じ。

音もなく限りなく降ってくる雪を見ているうちに、雪が降ってくるのではないことに気付いた。

その知覚は一瞬にしてぼくの意識を捉えた。

目の前で何かが輝いたように、ぼくははっとした。

雪が降るのではない。

雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。

普通に考えれば,この表現をした「ぼく」は病気です笑

しかし,なんとなくわかる気がするって感覚がどこかにあって,それが俺の心に響いた。

たまにありませんか?

街を歩いていると,俺が歩いてるんじゃなくて,街が近づいてきてるんじゃないか??って時が。

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スティルライフで印象に残ったセリフ・シーン

彼は手に持った水のグラスの中をじっと見つめていた。

「何を見ている?」とぼくは聞いた。

「ひょっとしてチェレンコフ光が見えないかと思って」

「何?」

「チェレンコフ光。宇宙から降ってくる微粒子がこの水の原子核とうまく衝突すると、光が出る。それが見えないかと思って」

バーで佐々井とぼくがかわす会話の一文なのだが,お洒落でクール。

俺が若かったら絶対バーで使ってたかも。

チェレンコフ光を噛んでしまいそうだけど…。

高度な物理談義をかわす染色工場のアルバイト2人。

上記みたいな感じの文体が好きなら,独特の世界観にどっぷりハマれるはず。

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スティルライフはこんな人におすすめ!

  1. 仕事で疲れてる人
  2. 心がすさんでいる人
  3. 詩的な文体が好きな人

普通に小説としてもおもしろいけど,スティルライフの良いところはどの場面を切り取っても静かで知的でクールなところだと思う。

疲れて何も考えたくない時や心がすさんでいる時に読むと,別の世界に連れていってもらえ気分転換,現実逃避できる。

忙しくて小説なんて最近よんでねぇーわ!って人にほどおすすめしたい本。

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スティルライフまとめ

まとめ

スティルライフは芥川賞受賞作品。

綺麗な文体,独特の世界観でファンも多い作品。

仕事が忙しくて疲れてるならぜひ読んでみては??

何かの気づきが得られるはず。

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