C-2P JIS溶接試験で困っていないか?
【C-2P】は現場ではかなり活躍する機会が多い資格。
組み合わせ溶接(コンビネーション)の頭文字Cから始まるこの資格【C-2P】は客先から求められることも多く,溶接工としては必須の資格となる。
初層(裏波溶接)をTig溶接で行うので比較的失敗が少ないため,合格率は約60%前後となっている。
とはいえ,仮付けでの失敗やアーク層での失敗もおこしやすく気が抜けない。
【C-2P】は溶接工とすれば3年目ぐらいで取得しときたい。
JIS溶接試験の【C-2P】で困っている人の役に立ちたい。
そんな思いで今回の記事は執筆した。
俺の溶接条件や,【C-2P】のやり方を読んで参考にしてほしい。
【C-2P】溶接試験材料(テストピース)
【C-2P】溶接試験材料(テストピース)
材質はSTPG370S
長さは125mm
開先角度は30°
ルート面は0.5mm
口径は150AのSch80
写真のような材料を突き合わせで溶接する。
試験材料作製時は両開先で試験材を作ることをオススメする。
何回も練習する必要があるため1回練習してポイでは,もったいない。
材料費と練習効率を考えて練習材料も作ろう。
試験材料(テストピース)としては【N-2P】と全く同じ試験材料となる。
【C-2P】溶接試験の条件
ルート間隔
ルート間隔は,4.0mm〜4.5mm程度。
【N-2P】と比べるとルート間隔は広い。
裏波を開先から確認しながらの溶接となるため広い方が失敗が少ない。
ルート面
ルート面は,0.5mm程度。
溶け込み重視でルート面は薄くとる。
グラインダーでなめる程度。
電流
1層目(Tig溶接) 125〜135A
2層目(Tig溶接) 150A
3層目(アーク溶接) 125A 短絡電流
4層目(アーク溶接) 120A 短絡電流
Tig溶接 2層,アーク溶接 2層の計4層で仕上げる。
溶接棒
1層目(Tig溶接) TG-S50 2.4Φ
2層目(Tig溶接) TG-S50 2.4Φ
3層目(アーク溶接) LB-47 3.2Φ
4層目(アーク溶接) LB-47 3.2Φ
【C-2P】溶接試験片仮付けのコツと注意点
いろんな記事で書かせてもらっているが本溶接前の仮付けは命。
溶接試験の合否を左右するといっても差し支えない。
溶接はほとんど仮付けの時点で終わっている。
仮付けだけの練習を何回も必要なぐらい仮付けは重要。
まずは仮付け前の段取り。
しっかり黒皮やサビを落とす。
仮付け位置は下記を参考にしてほしい。
【C-2P】は【N-2P】と違って3点仮付けでも問題ない。
写真のような仮付けシートを作るとマーキングしやすい。
仮付けシートの上に試験材料(テストピース)を乗せてマーキング。
まずは真下(スタート位置)を仮付け(Tig溶接にて)する。
しっかりとスキマゲージで計測しながら。
今回は4.2mm前後にセット。
仮付け長さは10mm程度。
残りの2箇所も同様に仮付けしていく。
3点仮付けが終了したら最終確認。
ルート間隔が希望通りなら本溶接へ。
仮付け終了したら試験官に刻印を打刻してもらう。
各都道府県の溶接協会によって違うかもしれないので,しっかり試験前の説明を聞いて欲しい。
刻印を忘れたり自分の勝手な解釈で試験を行うと失格となるので注意。
仮付け時のコツと注意点
・【C-2P】は3点仮付け。
・Tig溶接で仮付けする。
・管と管の目違いがおきないようにする。
・4.0mm〜4.5mmぐらいのライナーがあれば挟んで仮付けする。
(仮付け時に縮む分を考慮する)
・仮付けはしっかりと溶接する。電流は125A程度。
・仮付けでもしっかり裏波を出すことを意識する。
(最終的に本溶接とつなぐため)
・仮付けでも本溶接と一緒でしっかりアフターフローを当てる。
(現場では仮付けは本溶接と同じ,日頃から習慣化するため)
【C-2P】試験材のセットと溶接位置
試験管材のセット位置を間違う人が多い。
試験会場であせらないためにもしっかり確認してほしい。
まずは水平固定と鉛直固定の違いを把握する。
仮付け後に刻印を打刻してもらうが試験中に試験官に見えやすくするために刻印位置を図のように合わせ試験材をセットする。
もしわからない場合は試験官に遠慮なく質問しよう。
セットが間違うと全てが台無しになるので注意して欲しい。
【C-2P】1層目 裏波溶接のコツ
1層目は「ローリング」でも「浮かし」でもどちらでもよい。
自分のやりやすい方法で決めていい。
俺は「ローリング」で行う。
1層目で一番気をつけてほしいのが溶接棒の挿入角度。
写真のような角度で溶接棒を挿入してほしい。
開先の裏側から溶接棒を挿入し裏波を調整する。
図で書くとこんな感じ。
【T-1P】を受験した人ならわかるが,溶接棒の角度はかなり重要。
裏波の量を自在に操ることができればJIS溶接試験は合格したも同然。
1層目終了後。
溶接棒を入れすぎると裏波が出過ぎるし,送り量が少ないと出ないし。
この調整に練習時間の大半がとられる。
開先の裏側で溶かすコツをつかむまでが勝負。
目線も開先の裏側を見える位置にすることが大事。
1層目 裏波溶接のコツ及び注意点
・溶接棒の挿入角度に注意する。裏側(開先内)から入れる。
・溶接棒を溶かす位置は開先の裏側。
・裏波が出過ぎないように調整する。(溶接棒の送り量)
・仮付けと裏波をつなぐ。
・開先をしっかり溶かす。
【C-2P】溶接試験 2層目
1層目がうまくいったら2層目へ。
2層目もTig溶接で行う。
Tigで2層入れる理由は1層だけだとアーク溶接するときに1層目を溶かしすぎて裏波を壊す恐れがあるため。
アーク溶接はTig溶接に比べて溶け込みが深いので注意が必要。
慎重に2層目もTig溶接で行う。
2層目に一番気を付けなければならないことは溶接金属の高さ。
組み合わせ溶接の【C-2P】はティグ溶接+アーク溶接の組み合わせ試験。
全てティグ溶接でやっても,全てアーク溶接でやっても失格となる。
しっかりと規定通りの溶接をしよう。
組み合わせ溶接【C-2P】の注意点
ティグ溶接の溶接金属の厚さは3~6mmとすること。
残層は被覆アーク溶接を適用すること。
日本溶接協会より
2層目完了後。
ノギスで計測してみる。
残り6.5mm。
ということは元厚みが11mmなので11mm-6.5mm=4.5mm。
Tigの溶接金属は4.5mmなので規定通りOK。
【C-2P】2層目のコツ及び注意点
・Tig溶接で2層目を行う。
・Tig溶接金属の高さに気をつける。(3mm〜6mmまで)
・Tig溶接が終わったらアーク溶接に移行することを試験官に申し出て許可をもらう!
【C-2P】溶接試験 3層目
組み合わせ溶接【C-2P】の3層目はN-2FやN-2Vの2層目からと同様,中間層となる。
しっかり開先を溶かし仕上げ層前の下地をつくる。
できれば0.5mm程度管面より下がった位置まで溶接し仕上げたい。
水平固定3層目完了後。
鉛直固定3層目完了後。
スパッタやスラグをしっかりと清掃して最終層へ。
【C-2P】3層目のコツと注意点
・しっかりと両端で止まる。
・開先を消してしまわないようにウィービング幅を調整する。
・スラグやスパッタを綺麗に清掃する。
・クレータ処理をしっかりと行う。
・ビード形状はなるべく平にする。
・電流はできるだけ高くする。
いかに最終層にむけて溶接しやすいビードを作るか?が
最終層が綺麗に見えるコツ。
【C-2P】溶接試験 4層目(最終層)
ついに組み合わせ溶接【C-2P】も最終層。
電流を5A程度落として外観重視で仕上げたい。
水平固定最終層。
鉛直固定最終層。
【C-2P】最終層のコツと注意点
・しっかりと両端で止まる。
・ウィービングでしっかりと開先を溶かす。
・スラグを綺麗に清掃する。
・クレータ処理をしっかりと行う。
・リズムよくビードの波をそろえることを意識する。
・溶接終了後には自分で外観検査をする。
3層目のコツと注意点と似ている。
ここまできたらビードの形状を整えて提出するのみ。
肩の力を抜いて仕上げよう。
一番怖いのはアンダカット。
しっかり両端では止まりアンダカット防止につとめる。
溶接終了後には自分で外観検査をしよう。
・ビードの表面
・ビードの幅や高さ
・始端と終端(クレータ)の状況
・アンダカット,オーバーラップの有無
【C-2P】学科試験について
組み合わせ溶接の区分は,アーク溶接と同じになる。
なので,N-2FVHPやA-2FVHP,T-1Pなどの試験を受験し合格していれば学科試験は免除される。
詳しくは日本溶接協会に問い合わせてみてほしい。
もし学科試験を受験する場合でも以下に紹介する教本の過去問題集をやっておけば問題なく合格できる。
溶接の試験は難しくない。
この問題集から同じ問題が出題されるためぜひ一冊買っておいて損はない。
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