【職人の世界】は厳しい?
外径 | 53Φ |
高さ | 104.5mm |
重さ | 190g |
ちょうどいい円形の形。
Tig溶接ローリング練習には最適かつ完璧なサイズ感。それがサントリーのボスブラック。Tig溶接ローリング練習に関することは下記記事を読んでほしい。
新入社員のころは,このボスブラックでアホほどローリングの練習材として使っていた。すごく思い出の品。練習材としても思い出があるが,それ以上に仕事に対する考え方を教えてくれた品でもある。今回は情熱を入れて練習や仕事をしていれば誰かが拾ってくれるという心温まる話。
今回の記事には技術的な話や,誰かのためになる話はない。建設現場の1人の溶接職人の話があるだけ。気が向いた時にでも読んで欲しい。
【職人の世界】は厳しい? 溶接の練習に与えられた時間は残業時間帯
今から約20年前,溶接の練習といえば現場が終わった後の残業時間帯にいつも一人でバチバチさせながら工場で練習していた。完全なるサービス残業。誰もいない工場はかなり静かでいつもの騒がしい雰囲気は全くなく,むしろ音がしたらビビるぐらいの厳かな雰囲気だった。
その静かな工場で誰に教わるでもなく練習しなければならない状況は,今になって思えば効率が悪く,毎日練習しても一向に上達しない状況だとは思う。それでも現場では毎日溶接作業が入ってきており練習せざるをえない状況は職場の雰囲気としてあった。
【職人の世界】は厳しい? 残業時間帯の練習で感じたこと
残業時間帯の溶接練習は思い返してみるとメリットが多かった。
残業時間帯の溶接練習メリット
溶接音がしっかり聞き取れる
静かな工場は自分以外の音の発生源がない。裏波の抜ける音,上手くいった時の溶接音,アルゴンガスの噴出音。全てがクリアに聞こえる。音をイメージできるぐらい溶接をすることによってうるさい場所でもゾーンに入ることが簡単になった。
下手な溶接でも恥ずかしくない
人がいる場所での溶接は案外,溶接初心者のころは恥ずかしい。見せれるような溶接ビードなら堂々とできるが初心者のころは板や配管に溶接した後は,細かく裁断して証拠隠滅をしていた。残業時間帯の溶接は誰にも咎められることはなく自由に練習できた。
色んなパターンを試せる
現場でやると怒られるような設定や電流,隙間など色々この時期に試せたのは技術的に大きい。JIS溶接試験の電流や隙間も先輩に教えてもらった設定を変えてみたりして色々なパターンを試せた。残業時間帯の溶接練習で確認したことは今でも実際の経験として残っている。
残業時間帯の溶接練習デメリット
誰にも教えてもらえない
残業時間帯は先輩や同僚は付き合ってくれない。基本的に一人。困ったことや聞きたいことがあっても,その場で聞けないのは大きなデメリット。次の日は次の日で現場作業があるのでそのことで頭はいっぱい。手探りの溶接は学習効率がすごく悪かった。
現場の後なので体力的に辛い
散々現場で仕事をやった後は体力も使い果たしてヘロヘロ。その後で溶接はなかなか根気が続かない。体力をつけるために登山を始めたのもこのころ。
お金をもらえないのでモチベーションが上がらない
お金のことは無視。とにかく腕を上げることに専念した。とはいえお金が発生しないことほどモチベーションが上がらないことはない。いつもなんか損した気分を抱えながら溶接していた。
【職人の世界】は厳しい? ある朝起こった出来事
そんな日々を毎日送っていた初心者溶接工のころ,ある朝起こった出来事が俺の職人人生を変えた。
あれはすごく暑い夏の朝早く,工事現場に行くために工具や溶接機を準備していたとき,いつもはむちゃくちゃ怖いおっちゃん(腕は一流)がボスブラックをくれた。しかもそっと。みんなにわからないようにこっそりと。
「いつもご苦労さん」と…………。
俺は涙が出るほど嬉しかった。俺が夜な夜な溶接の練習をしているのをおっちゃんは知っていてくれた。見ている人は見ているとこのとき確信した。アピールとか主張とかする前に行動すれば何かが動く。
後でおっちゃんにどうして俺が練習しているのがわかったか聞いてみると,溶接の残棒を捨てる場所の残棒量がいつもより多かったこと,俺の溶接ビードが上達していることなどから推察してコーヒーをくれたらしい。
それ以来ボスブラックを見ると思い出す。溶接の練習風景とおっちゃんの優しさと。
【職人の世界】は厳しい? 職人の世界も捨てたもんじゃない
よくある話かもしれないが,ちょっとしたことで人は救われる。
厳しいと言われる職人の世界にも心温まる話は沢山ある。それ以上に品がない奴やクソヤローがクローズアップされるだけで,ほとんどの人が暖かい人ばかり。一部の奴に引っ張られて業界のイメージが悪くなるのはどこの業界でも一緒。
情熱を持って仕事に取り組めばまともな人は拾ってくれる。心配しなくていい。職人の世界は捨てたもんじゃない。
まとめ
職人の世界は捨てたもんじゃない。とにかく一生懸命自分のことだけ考えよう。目の前の仕事に打ち込むだけ。いずれ腕が身につき自信がでてくる。
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