溶接工は建設現場や工事現場の一員。
どれだけ溶接が上手くても大きな建設現場や工事現場ではあくまでも一員なので,その現場のルールに従う必要がある。現場によって取り仕切ってるゼネコンや元請けが違うのでルールも変わる。
建設現場に長年勤めていると業界の裏側や実態が嫌という程わかる。俺も溶接工になって約20年がたち人生経験も積み,建設業界の裏側も見てきた。
これから就職しようとする人や転職しようとする人にすこしでも役にたればと思いこの記事を執筆する。
どの業界でも光の影には裏がある。
建設業界も例外ではなく,そんなものだと思って読んでほしい。
建設業界の1日
建設業界の朝は早い。
現場によっては朝の7:30にはラジオ体操があったり,ミーティングがあったりするので家を出るのはかなり早い時間から出勤しなければならない。現場が遠い場所だと一旦会社の事務所に集合しそこからみんなで道具を積み込みトラック等で現場に向かう。朝の6:00集合とかはザラだ。
当然集合時間からはお金は貰えず,現場についてからの勤務となるため実質労働時間は8時間だが行動時間は12時間は普通。準備作業を残業と扱ってくれる会社は少ない。
朝6:00集合
↓
道具積み込み
↓
現場到着
↓
ラジオ体操
↓
8:00〜
ミーティング
↓
作業
↓
17:00〜
終礼
↓
事務所まで帰り明日の作業準備やミーティング
↓
自宅
お金が発生するのは8:00〜17:00まで。準備や片付けは勤務時間外となり会社には請求できない。建設業界ではこれは普通で。誰も文句も言わず従っている。
大手のゼネコンや元請けになると近くに会社があったりホテルで宿をとるため,準備や片付けが少なくなるが書類や各所の調整などでほとんど定時に帰れる日はない。建設業界は働く人の献身的な態度でまかなわれているところは数多くある。
建設業界の休日
求人表には週休2日とか各週土日休みとか書いてある企業がほとんどだが実態は基本的に土曜日は出勤。作業期間が決まっている工事や請負金額が安い工事がほとんどなので,なるべく早く仕事を終わらせて次の工事現場へと作業員を向かわす企業が大半。
休みの日も移動日や緊急呼び出しなどで潰れる日もある。年間休日で言えば100日ある建設会社はかなり優良企業。ほとんどの建設業界の会社は月4回休みの年末年始入れて70日前後だろう。忙しい年だと年間休日が50日を割る年もあった。
零細企業だと休日出勤しても平日の残業に変えられたり,翌月払いの会社もあると聞いたことがある。工事現場の元請けからの支払いが工事完了後だとすると,下請けに払いこまれるのは工事完了後1ヶ月後とかになるのでその間は支払いは待ちとなる。
休日出勤し身を粉にして働いてもすずめの涙の給料。建設業界から若い人がいなくなる日も近い。
建設業界の癒着や天下り
癒着は数限りなくある。工事の請負契約や見積もりの耳打ちなどは日常茶判事にあると思っていい。むしろない工事現場はないだろう。少なくてもここ20年間は間違いなくある。
ゴルフ,接待,お中元,お歳暮。
昔ほどはひどくないが,今でも営業上手な会社は行なっているはず。悪いことかどうかは判断が難しいが新しい工事施工会社や新規参入を狙っている企業などは壁が高く感じられるだろう。
癒着はどの業界でもある。
天下りも当然のことのようにあるし,珍しいことでもない。
子会社や関連会社への出向や転籍は建設業界では普通のこと。何人受け入れれば工事を受注できるとか決まっているとかいないとかかなり本当に近い噂はよく聞く。
建設業界はピラミッドシステム
日本社会の特徴か世界共通なのかは知らないが建設業界もピラミッドシステムになっており
お客→ゼネコン→下請け→2次下請け→3次下請け→4次下請け
実際現場で施工しているのはどこの馬の骨ともわからない下請けの作業員。ゼネコンは下請けに仕事を割り振るだけ。あとは現場監督や施工管理なので基本作業はしない。下請けにやらせる。どこの建設現場でもこのピラミッドだと思う。
建設業界に就職するなら自分がどこのピラミッドの位置に入るのかを考え会社を選ぶといい。どの位置も一長一短があり一概にはどこがいいとはいえない。
ゼネコンは体は楽そうだがお客とのやり取りや官庁への提出書類作成や工程管理,現場管理で激務だし,2次下請け以降は実際の現場作業で工程を守るために休日出勤や残業は当たり前だし,どこの位置を選んでもかなり激務だと思う。
建設業界を職種に選ぶのはそれなりの覚悟が必要。
建設業界の体質を変えるには
- 工事工程を週休2日ありきにすること
- 下請け業者をゼネコンに取り込む事
工事工程を週休2日ありきにすること
工事工程を作成するときは週休2日で考えると,現場は相当楽になる。土日は休むもんとすることで嫌でも効率もあがるし,モチベーションもあがる。最初から休みは休むこととする事で喜ぶ人はかなりいるはず。土曜や日曜日に出勤しなければ終わらない工事は法律違反としてしまえばいい。これだけで建設業界のホワイト化は進むと思う。
下請けをゼネコンに取り込む事
工事期間はゼネコンも業者も同じ会社とし,上下関係をなくすこと。これにより,言いたいことも言えるし無理難題も押し付け合いがなくなるはず。会社が違うと平気で責任のなすりつけ合いが起きて責任の所在が曖昧になる。同じ会社とすることで,一体感は出る気がする。ゼネコンが偉いとか下請けが怖いとかはなくなるんじゃないか?
まとめ
建設業界はこのままいくと誰も就職したくなくなる職種になる。建設業界はこれから人手不足に悩まされ立場の逆転が起こる可能性がある。下請けが仕事を選び,ゼネコンとの関係が対等になる時が遠くない未来に訪れるかも知れない。その時に腕がある職人は重宝されるはずなので腕は磨いておくことが大事。建設業界の職人は高給取りと呼ばれる時代になってほしい。
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