溶接工必見!【Tig溶接】トーチ部品【名称,役割,種類,交換頻度,注意点】
Tig溶接のトーチ部品は溶接初心者にとっては,とっつきづらい要素の一つ。コレット,ガスレンズ,バック(トーチ)キャップ,タングステン,インシュレーターなど様々な部品で構成されており名前と部品が一致するまでに時間がかかる。
今回は,Tig溶接のトーチの各部品の名称,役割,種類,交換頻度,注意点について記事にしたい。
では,紹介していこう。
Tig溶接 トーチ本体 構成品一覧
・ガスレンズノズル
・コレット
・コレットボディ
・トーチ本体
・バック(トーチ)キャップ
・タングステン
・前側インシュレーター
・後側インシュレーター
・本体ネック
・スイッチ
ほとんどのTig溶接トーチはこの構成で組み立てられているはず。部品を購入する際に役立ててほしい。
では,各部品についてみていこう。
Tig溶接 トーチ部品 ガスレンズノズル
名称・・・ガスレンズノズル
現場では「ピンクいやつ」とか「8番持ってこい」とか「ひょうたん」とか人によって色々な呼び方をされる。
役割・・・トーチ本体から流れてくるアルゴンガスを整流し,溶接材料やアークにガスを集中させる。
種類・・・様々な種類があり,通常のノズルからロングノズルやショートノズル,特殊ノズルなど用途によって使い分ける必要がある。
現場では大口径ガスレンズというのを使っている。アルゴンガスのシールド力を高めた商品で愛用している。詳細は下記の記事で紹介しているのでぜひ読んでほしい。
交換頻度・・・欠けたり,割れたりした場合に取り替える。大事に使えば余裕で半年は持つので頻度としてはそんなに多くない。
俺は大体No,8のノズルを使っている。
注意点・・・セラミックなので衝撃に弱いこと。落としたりぶつけたりしたら欠けたり割れたりしてしまう。慎重に扱う必要がある。
Tig溶接 トーチ部品 コレット
名称・・・コレット
これは他の呼び方を聞いたことない。「中の筒みたいな」とか溶接初心者がよく言うかもしれない。
役割・・・タングステン電極を固定する部品
種類・・・タングステンの径によって0.5mm〜4.0mmぐらいまでの径がある。長さも色々あり標準品は50mm。
径2.4mmの長さ50mmが俺は一番よく使う。
交換頻度・・・半年に一度程度。補修しながら利用可能であまり変える必要がない。半年に一度は贅沢かもしれない。
高電流で長時間溶接すると変色は起きるがワイヤブラシなどで磨けば使えるし,変形してもペンチやプライヤーなどで直して使うことが多い。へたすりゃ何年も使える。
注意点・・・バックキャップを締めすぎないこと。変形してしまうので,締め付けはちょっと効いたぐらいで十分。
Tig溶接 トーチ部品 コレットボディ
名称・・・コレットボディ
現場では「ガスレンズ」という場合が多い。
役割・・・コレットに入れたタングステン電極を固定する部品。アルゴンガスもここから吹き付ける。
種類・・・標準タイプかガスレンズタイプかの2種類を使う。
大口径ガスレンズと併用して使うガスレンズがあり,アルゴンガスの吹き付けの直進性が凄いタイプがガスレンズという。下記の記事をぜひ読んでほしい。
交換頻度・・・ほぼない。黒ずんできたら磨いて使う。
注意点・・・ネジ部が知らない間に緩むことがあるので,たまに増し締めしてやるといい。
Tig溶接 トーチ部品 トーチ本体
名称・・・トーチ
ちなみに被覆アークはホルダーという。半自動ではノズルとかトーチ。Tigではトーチという。
役割・・・トーチを構成する母体となる。
種類・・・フレキシブルトーチや空冷トーチ,水冷トーチ,ショートトーチなど種類はたくさんある。
現場では空冷のフレキシブルトーチが多い。下記の記事も参考にしてほしい。
交換頻度・・・本体を変えることはほぼない。うっかりして損傷させる以外は。
注意点・・・本体の許容電流を超えて使用しないこと。焼付いたり溶接機を損傷させるのでトーチの許容電流の確認を溶接前に必ずすること。
Tig溶接 トーチ部品 バック(トーチ)キャップ
名称・・・バック(トーチ)キャップ
トーチキャップと言ったり,バックキャップと言ったり。現場では単に「キャップ」と言うことが多い。
役割・・・キャップをトーチに締め付けると,コレットの先端がコレットボディ押し付けられ、タングステン電極を固定できる。
種類・・・ロングタイプかショートタイプかの2種類。
現場ではハンドリングの良さからショートタイプを使う。詳しくは下記の記事を読んでほしい。
交換頻度・・・半年に一度ぐらい。割れたりネジ部がダメになりやすい。
注意点・・・ネットの格安品は品質がマジでよくない。しっかりとしたメーカー品を使うことをオススメする。
Tig溶接 トーチ部品 タングステン
名称・・・タングステン電極
現場では「トリタン」「セリタン」「べスタン」とかタングステンの種類によって呼ぶことが多い。単に「タングステン」とも言う。
役割・・・アークを発生させる電極棒
種類・・・溶接素材によってタングステンの種類を換える必要があるのと,材料の厚みによって太さを変える必要がある。
俺が愛用しているのはウェルドクラフト社のレアアースタングステン。詳しくは下記の記事を読んでほしい。
交換頻度・・・溶接量と溶接電流にもよるが,俺の場合は1ヶ月に一回ぐらいは150mm使う感じ。
タングステン電極は高電流の場合消耗するし,先端を研ぎ直す必要があるので交換頻度は多い。下手な溶接工はタングステンタッチを起こしやすいので消耗は激しい。
注意点・・・タングステンの研ぎ方と角度は十分に考える必要がある。
詳しくは下記の記事を読んでほしい。
Tig溶接 トーチ部品 前後インシュレーター
名称・・・インシュレーター
「インサート」とか「ガスケット」とか言う場合もある。現場では「ガスケット」が多い。
役割・・・アルゴンガスがノズルやバック(トーチ)キャップから漏れないようにするガスケット
前と後ろにありそれぞれ形が違う。
種類・・・前側と後側の2種類。
交換頻度・・・何回も締め付けたり緩めたりする内にヘタってくる。半年に一度ぐらいは交換した方がいい。
アルゴンガスが出ているのに溶接ビードが酸化したり黒ずんてきたらインシュレーターを疑った方がいい。
注意点・・・ネットでの格安品はゴムが硬い。アルゴンガスをうまくシールできないことがあるのでメーカー品の使用をオススメする。
Tig溶接 トーチ部品 本体ネック
名称・・・ネック
フレキシブルトーチを使っている場合は,「フレキシブル部」とか「フレキ」とか言う。固定トーチの場合は「ネック」と言う場合が多い。
役割・・・トーチ本体の「ネック(首)」部分。ノズルやトーチ本体を支える。
種類・・・フレキシブルタイプと固定タイプの2種類。
交換頻度・・・ほぼない。
注意点・・・フレキシブルタイプの場合,経年劣化でコイルエレメントという部品が折れることがある。取り換え可能だがフレキシブルタイプだからといって過度な曲げ方やクネクネ何回も折り曲げたりしないこと。
Tig溶接 トーチ部品 スイッチ
名称・・・スイッチ
役割・・・アークのオンとオフを司る。
種類・・・ボタンタイプとバタフライタイプの2種類
完全に好み。俺はバタフライタイプが好き。押すのに楽な反面,ちょっと触れても誤動作するデメリットはある。
交換頻度・・・2年に1回ぐらい。
接触不良がたまに起こる。接点が頑丈には作られていないため経年劣化で切れる。予備のスイッチがあるといいだろう。
注意点・・・スイッチの位置は任意に変更できる。横にしたり上にしたりで溶接しやすさが変わるので一度試してみてほしい。
まとめ
Tig溶接トーチ部品は構成部品が数多くありわかりずらい。ちょっとでも参考になれば嬉しい。共通して注意してほしいのは,ネットでの格安品に注意してほしい。粗悪品が多い。
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