被覆アーク溶接はシンプルで奥が深い溶接方法
溶接初心者が一番最初に触れる溶接方法。
被覆アーク溶接。
俺は工業高校だったので高校生の時代から
慣れ親しんだ溶接方法だ。
かれこれ25年近くは被覆アーク溶接と
たわむれている。
25年たわむれても,まだまだ難しい。
やり込みめばやりこむほどに奥が深い。
これからもずっと存在し続けるだろうし,
難しさも一段と増していく。
被覆アーク溶接はシンプルゆえに難しい。
被覆アーク溶接のデメリットはこの記事で書いた。
今回は被覆アーク溶接のメリットについて記事にしたい。
被覆アーク溶接のメリット その1 仕上がりが速い
仕上がりの速さ(溶接完了までの速さ)は,
Tig溶接と比べると段違いに速い。
特に肉厚管になるとその差は歴然。
Tig溶接の3倍〜4倍の速さで溶接を完了することができる。
なので初層はTig溶接で裏波を形成し,残りの残層は
被覆アークで溶接というパターンがよくある。
一見段取りがTig溶接機と被覆アーク溶接機の2台用意する必要があり,
時間がかかりそうだが,段取り分をさしひいてもトータルで
被覆アーク溶接を入れたほうが速くなる。
時間に制約がある場合や,数をこなす必要がある場合,
被覆アーク溶接はかなりのメリットを発揮する。
被覆アーク溶接のメリット その2 風に強い
被覆アーク溶接は他の溶接方法にくらべ格段に風に強い。
溶接棒のフラックス(被覆材)は,高温のアークによって分解され、ガスとなってアークと溶融池を大気から保護し、アークを安定化させている。
溶接棒のフラックス(被覆材)によって風から溶融池を守っているので,
Tig溶接や半自動溶接みたいにシールドガスが必要ではない。
天気が悪い日や風が強い日は被覆アーク溶接の出番。
屋外作業なら被覆アーク溶接が選択肢の一番。
風速でいえば10m/sまでは被覆アーク溶接で大丈夫。
それ以上の風速になれば作業中止や延期となる。
被覆アーク溶接のメリット その3 溶接機が安価
溶接機の値段も重要なメリットとなる。
Tig溶接機は1台+部品代で約20万円前後。
被覆アーク溶接機は1台+部品代で約8万〜10万円。
値段が倍ほどは違う。
Tig溶接機の場合や半自動溶接の場合,
溶接機と部品代の他にシールドガス代もかかる。
大きな工場の場合1台では生産性が悪いので大量に
溶接機を購入する必要があるが設備投資がかかるので
被覆アーク溶接機とTig溶接機,半自動溶接機と併用し
コストを下げる必要がある。
被覆アーク溶接機は値段が安いだけではなく,
構造も簡単で故障も少ないため維持費も安い。
俺の職場では20年前の溶接機がまだ現役で稼働している。
溶接機の値段も大きなメリット。
被覆アーク溶接のメリット その4 水に強い
極端な例でいえば水中溶接は被覆アーク溶接だ。
水中溶接は特殊だが
通常の被覆アーク溶接も水には強い。
工事現場で取替配管を切断し,新配管を溶接しようとすると
水がポタポタ止まらないことがよくある。
そんなときは被覆アーク溶接での溶接が一番いい。
感電災害の恐れがあるので,あまり量が多い水なら溶接できないが
ちょっとぐらいの水ならば被覆アーク溶接なら溶接できる。
溶接棒をグッと押し込むように水がでてくる所に
あてると水が蒸発し一瞬止まる。
その隙に溶接を完了させる。
現場でよく使う技。
まとめ
被覆アーク溶接のメリット
・仕上がりが速い
・風に強い
・溶接機が安価
・水に強い
不確実性の高い現場仕事には欠かせない溶接方法。
発明から約100年経過してもまだまだ現役の溶接方法。
シンプルで奥が深い被覆アーク溶接はこれからも
現場で活躍し続けるはずのなので,いつまでも
溶接工の仕事はなくならない。
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