【バルブ溶接】開度は「全開」「全閉」「半開」どれ?【注意点も解説】
バルブを配管に溶接したいんだけど,開度ってどうすればいいの?
「全開」「全閉」「半開」?
バルブ溶接時の注意点についても教えて欲しい。
バルブ溶接時の開度は「半開」が基本だよ!
注意点についても解説するね。
本記事の内容は以下の通り
・バルブ溶接時の開度が「半開」の理由がわかる
・バルブ溶接時の注意点についてわかる
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格はJIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するにベテラン溶接工で溶接の専門家。
本記事は,バルブ溶接時の開度と注意点について書いた記事。
バルブと配管を溶接する時の疑問を解決したい人にはおすすめの記事。
【バルブ溶接】開度は「半開」の理由
※本記事のバルブとは「グローブ(玉型)弁」「ゲート(仕切り)弁」のことを言う。またバルブ主要メーカーでの溶接時開度であり全てのメーカーが「半開」とは限らないことをご了承いただきたい。
【バルブ溶接】開度は「全開」「全閉」「半開」で悩んだことはないだろうか?
何も考えずに溶接している人もいるかもしれない。
しかし,バルブを配管などに溶接取り付けする時には開度を「半開」にしてほしい。
バルブ溶接時開度を「半開」にする理由
- 「全開」or「全閉」だと溶接時の熱によりバルブが膨張し,シート面を痛める恐れがあるから
溶接時はバルブが高温になり熱影響で膨張する。
その時にシート面が密着していると,「スパーク」や「固着」「シート面の膨張率の違い」などでバルブのシート面を痛める恐れがある。
それを避けるためにバルブ開度は「半開」とするのが望ましい。
バルブのシート面って「全閉」の時だけ当たるんじゃないの??
バルブを「全開」で溶接したらダメ?
バルブには「バックシート」と言って「全開」時,グランド漏れを防ぐ働きがあるシート面がある種類があるんだ。
常にバルブ溶接時は「半開」をクセにしておくと「バックシート」があるバルブでも対応できるので良いよ!
バルブを配管などに溶接取り付けする時は,シート面保護のため「半開」にする!
バルブ溶接の注意点【10個ある】
配管などにバルブを溶接する時にいくつか注意点があるので,下記に紹介する。
- バルブは「正立」して取り付ける
- 溶接熱を考える
- 流れ方向を確認する
- バルブ内のシート保護フィルムなどを除去する
- 無理して取り付けしない
- メンテナンススペースの確保
- 配管内の異物
- 溶接棒の確認
- 内部流体の確認
- 溶接終了後「開度」の確認
上記の通り。
深堀していこう。
1.バルブは「正立」して取り付ける
指定がある場合や止むを得ない場合は別だが,バルブは極力「正立」姿勢で取り付ける。
操作がしやすいからといって,「斜め」「逆さま」などに取り付けはNG。
重力によってゴミやスラッジが溜まりやすくなりバルブの寿命を縮める。
バルブは「正立」姿勢で取り付けが基本。
2.溶接熱を考える
溶接時には溶接入熱を考えながら溶接する。
バルブには耐熱温度があり,溶接時はそれを超えるのは避ける。
バルブに濡れウエスを巻いたり,片側溶接したらしばらく冷まし,もう片方を溶接するなど工夫が必要。
かと言って溶接直後にエアーなどで急冷はNG。
バルブが熱変化に耐えられず割れる恐れもある。
バルブを溶接する時は「溶接熱」を考える必要がある。
3.流れ方向を確認する
バルブ溶接で一番最悪なのが取り付け方向間違い。
俺がバルブを溶接取り付けする時は何回も何十回も確認する。
ミスった!では済まされない。
一人だと思い込みもあるので,できれば二人で確認するのが安牌だろう。
4.バルブ内のシート保護フィルム,クッション材などを除去する
意外と盲点なのが,新品のバルブには輸送時にシート面が傷つくことを防ぐために,シート面にフィルムやクッション材が詰め込まれていることがある。
特に逆止弁は注意。
取り忘れると溶接中に「火」が出たり,異物として残る。
取り付け前に絶対にバルブ内部の確認を行ってほしい。
5.無理して取り付けしない
バルブを配管に取り付ける場合,無理は禁物。
配管と配管の芯通りを確認し,バルブで調整しないように取り付けよう。
無理して取り付けると応力が発生し,バルブの動きを妨げ動作不良を起こす。
バルブを取り付けた後は動作確認も忘れずに。
6.メンテナンススペースの確保
バルブは取り付け前に「メンテナンススペース」が確保できるか確認しよう。
- グランドパッキン交換のスペース
- 分解するための上下のスペース
- 吊り下ろし,吊り上げのスペース
などのメンテナンススペースを確保しよう。
現場には地獄みたいなバルブの取り付け方が多くあるが,アフターメンテナンスまで考えるのがプロ。
7.配管内の異物
忘れがちなのが,配管内の異物。
バルブ内の異物は気づきやすいが,配管内の異物は忘れがち。
強力ライトなどで奥まで確認しよう。
8.溶接棒の確認
バルブの材質と配管の材質を確認し溶接棒を選定する。
バルブは溶接時に「バタリング」が必要なものもある。
溶接に予熱,後熱が必要なバルブもある。
バルブの材質を確認し溶接棒も間違えないようにしよう。
バタリングとは、突合せ溶接を行う際に、突合せ溶接継手の開先面にサーフェシング(肉盛溶接、溶射などのように、母材表面に金属を溶着させる方法)を行うこと。
9.内部流体の確認
配管内を流れる流体の確認も大事。
特に可燃性の流体の場合,溶接時は不燃性ガス(窒素やアルゴン)で置換するなど火災・爆発の予防をする。
アークを出した瞬間に可燃性ガスに引火し爆発!なんて事故事例は腐るほどある。
溶接前に必ず内部流体の確認を忘れずに。
10.溶接終了後「開度」の確認
溶接時はバルブ開度は「半開」ということは,すでに紹介したが溶接終了後の「開度」はお客やプラント運転員に確認しよう。
誰もが「開」や「閉」になっていると思い込んでいる場合がある。
思わぬ所から吹き出しだり,配管が閉塞したりするトラブルを防ぐためにも溶接終了後はバルブ「開度」をどうしておくといいのか確認する必要がある。
【バルブ溶接】開度は「全開」「全閉」「半開」どれ?【注意点も解説】:まとめ
バルブを溶接する時,開度は「半開」にする。
なぜならシート面が傷つく恐れがあるから。
他にも注意するべき点があり,
- バルブは「正立」して取り付ける
- 溶接熱を考える
- 流れ方向を確認する
- バルブ内のシート保護フィルムなどを除去する
- 無理して取り付けしない
- メンテナンススペースの確保
- 配管内の異物
- 溶接棒の確認
- 内部流体の確認
- 溶接終了後「開度」の確認
などがある。
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