溶接の知識

【配管の基礎知識】SUS304とSUS304Lの違い【Lの意味,溶接棒,規格,種類】

配管の記号はややこしい

 

初心者溶接工が必ずつまずくのが配管の記号。

溶接が仕事なのに配管の記号でつまずいてやる気をなくし,溶接業務に支障が出てしまう。

【配管の基礎知識】シリーズはそんな初心者溶接工のために始めたシリーズ。

今回で4回目となる。

 

ステンレス配管のTP-AとTP-Sの違い,STPG370「SとE」の違い,スケジュールとは?を知りたい方は過去記事を読んでほしい。

配管の種類や記号は多種類あり一気に覚えるのはかなり困難だが,一つの種類を深く知ることによって応用がきくこともあるので初心者溶接工の内は,焦らず確実に理解していって欲しい。

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では,SUS304とSUS304Lについて解説していこう。

SUS304とSUS304Lの違いとは?

代表的なステンレス鋼(オーステナイト系)であるSUS304とSUS304Lは、金属中の耐食性に影響するクロム(Cr)やニッケル(Ni)の濃度は同じだが、炭素(C)濃度が異なる。

SUS304には、炭素(C)が0.03%以上~0.08%以下含まれていて,SUS304Lでは炭素(C)は0.03%以下となる。

SUS304とSUS304Lの違い

SUS304とSUS304Lの違いは炭素量304Lの方が低炭素(0.03%以下)

数字の末尾(例304Lなど)にLがついているSUS(ステンレス)鋼はLグレードとか極低炭素鋼と呼ばれ、Lがついていない種類よりも溶接時や加熱時のクロム濃度低下によって耐食性低下となる「鋭敏化」と呼ばれる現象が起きにくいSUS(ステンレス)鋼。

SUS304LのLの意味とは?

SUS304LLとは何か?

 

それは

SUS304LのLとは何か?

L=Low Carbon(ロー・カーボン)低炭素

という意味。

 

Lというのは英語でLow(ロー)低いという意味の単語の頭文字。

SUS(ステンレス)の種類の数字のあとにL(低炭素)をつけることによって表している。

L(低炭素)だと何がいいのか?

溶接時や加熱時のクロム濃度低下によって耐食性低下となる「鋭敏化」と呼ばれる現象が起こる。

「鋭敏化」が起こると耐食性が悪くなり「粒界腐食」を起こしやすくなる。

Lグレード(極低炭素)の材料は溶接した際に見られる「粒界腐食」に強いため、こうした腐食が原因の錆には強い。

粒界腐食とは?

腐食のひとつ。

腐食が結晶粒界に沿って進行する局部腐食のこと。

金属中に不純な炭素化合物が増すことが原因。

L(低炭素)のデメリット

メリットは粒界腐食に強いことが大きなメリットとなるが,当然デメリットも存在する。

L(低炭素)のデメリット

・価格が高いこと

・流通量が比較的に少ないこと

価格に関して言えば,1割程度値段が高い。

「値段が高いこと」は数量が多い場合,工事予算にかなり影響するので慎重に材料は選びたい。

「流通量が少ない」ということは,手に入りずらいとか納期が若干かかる(工事工程に影響する)ため気軽に使いづらいということにもなる。

 

デメリットも見極めて材料選定や工事計画を立てる必要性がある。

SUS304の溶接棒は?

配管を溶接する前に,配管の材質を確認するのは溶接工として当然の行為。

溶接棒を選定するために配管の材質は欠かせない。

SUS304とSUS304Lでは用途も違えば溶接棒も違う。

SUS304の溶接棒は?

・ティグ溶接の場合 TG-S308(神戸製鋼)

・アーク溶接の場合 NC-38(神戸製鋼)

現場では「サンパチ」という言い方の現場が多い。

SUS304Lの溶接棒は?

L無しとL有りの配管を溶接する場合はほとんどない。

もしあったら設計者に意味を確認したほうがいいだろう。

ここではSUS304Lどうしを溶接する場合についてのみ記事にすることにする。

SUS304Lの溶接棒は?

・ティグ溶接の場合 TG-308L(神戸製鋼)

・アーク溶接の場合 NC-38L(神戸製鋼)

現場では「サンパチのエル」という言い方をする。

SUS(ステンレス)の規格

SUS(ステンレス)の規格は日本工業規格(JIS)に定められている。

SUS(ステンレス)の規格をもっと詳しく知りたければ,下記リンクより印刷や購入はできないが閲覧だけなら無料で確認することができる。

JIS規格を確認する

JISは国家規格だが、この他にステンレス協会が制定した団体規格(SAS:Stainless Association Standard)が広く使用されている。

他にもアメリカのASTM規格、ヨーロッパのEN規格、世界共通規格のISO規格がある。

SUS304とSUS304Lの種類はオーステナイト系

オーステナイト系とは,いくつかあるSUS(ステンレス)の種類で304,304L共にオーステナイト系となる。

オーステナイト代表が18クロムー8ニッケルのSUS304。

延性および靭性(じんせい)に富み、曲げ加工,切削加工などの冷間加工性が良好で溶接性,耐食性も優れ、低温、高温における性質も優れている。

製造量は全SUS(ステンレス)生産量の60%を越えるほど。

SUS(ステンレス)といえば304といっていいだろう。

【豆知識】SUS(ステンレス)も錆びる!?

SUS304とSUS304Lの違いとはあんまり関係ないが,豆知識も知っておくと話の幅が広がり溶接工としてもコミュニュケーションが取りやすい。

なので気が向いたときにでも読んでほしい。

ステンレス(SUS)とは”stain less steel”のことで,stein(汚れ)、less(無い)の造語と”steel”=「鋼鉄」を合わせてステンレスという。

汚れない=錆びにくい

「錆びにくい鋼鉄ですよ」という意味。

錆びにくいというだけでSUS(ステンレス)も錆びることがある。

 

SUS(ステンレス)が錆びにくい理由としては,

ステンレスは、Cr(クロム)が空気中の酸素と結合(=酸化)し、100万分の3mm程度の非常に薄い不動態皮膜(保護皮膜)を材料表面に形成する

不動態被膜は化学変化しにくく鉄が酸素と結合しようとする(=錆びる)のを防いでくれる。

不動態被膜は傷が付くなどして破れることがあるが、瞬時に自己修復し鉄が錆びる隙を与えないためSUS(ステンレス)は錆びにくい。

なのでこの不動態皮膜を壊してやればSUS(ステンレス)も錆びることになる。

 

具体的には

・もらい錆び(異種金属との接触)

・化学薬品に触れさせる

・大きなすり傷や打痕傷

など。

 

SUS(ステンレス)=錆びないではなく条件次第では錆びることもあることを理解しておこう!

まとめ

まとめ

SUS304とSUS304Lの違いは炭素量の違い。

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