普通ボイラー溶接士 実技試験のやり方とコツ
普通ボイラー溶接士の資格取れ!って言われた。
やり方とかコツとか全部教えてほしい!
普通ボイラー溶接士は,最近よく客先から言われるね〜。
コツさえつかめば,簡単だから安心して!
本記事の内容は以下の通り
- 普通ボイラー溶接士 溶接試験材料
- 普通ボイラー溶接士 溶接試験の条件
- 普通ボイラー溶接士 仮付け(下向・立向)
- 普通ボイラー溶接士 1層目(下向)のやり方とコツ
- 普通ボイラー溶接士 2層目(下向)のやり方とコツ
- 普通ボイラー溶接士 3層目(下向)のやり方とコツ
- 普通ボイラー溶接士 1層目(立向)のやり方とコツ
- 普通ボイラー溶接士 2層目(立向)のやり方とコツ
- 普通ボイラー溶接士 3層目(立向)のやり方とコツ
- まとめ
この記事を書いている俺は「溶接歴25年超」の熟練溶接工。
保有資格は,JIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するに,現場歴が長い職人。
本記事は,ボイラー溶接士実技試験における「やり方とコツ」を簡単にまとめて解説した記事。
普通ボイラー溶接士とは?
そもそも,普通ボイラー溶接士って何?
試験内容は?
ボイラー溶接士とは,『普通ボイラー溶接士』と『特別ボイラー溶接士』がある。
まず,普通ボイラー溶接士を合格し,1年の実務経験後,特別ボイラー溶接士の受験資格を得られる。
普通ボイラー溶接士は,ボイラー,第一種圧力容器の溶接作業の溶接板厚25mm以下で管台、フランジなど取り付ける溶接作業をするのに必要な資格。
試験内容は,学科試験と実技試験がある。
普通ボイラー溶接士実技試験は,
・裏当て有りの下向き溶接(F)
・裏当て有りの立向き溶接(V)
を制限時間60分で行う。
※しっかりとキッチンタイマーで計測される。
最近は,自家発・ゴミ焼却場などの客先から要求される事が多いよ。
実際には,ボイラー溶接士の資格は必要ないけど,それなりの技術や知識が欲しいという事で溶接士の条件として仕様書に書いてあることが多い…。
学科試験対策についてはコチラの記事
ボイラー溶接士 溶接試験材料
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9077-scaled-e1694914135228.jpeg)
材質 | SS400 |
---|---|
長さ | 150mm |
幅 | 125mm |
開先角度 | 30° |
ルート面 | 約1mm |
厚み | 9t |
裏当て金 | SS400 L=170mm t=6 W=30mm |
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9086-1-scaled-e1694914621322.jpeg)
上記の写真は,中部安全衛生技術センターにあった試験板寸法。
基本的に試験材は,JIS溶接試験にA-2FやA-2Vなどと変わらない。
ボイラー溶接士 溶接試験の条件
ルート間隔
下向き・立向き共通。
ボイラー溶接士のルート間隔は,4.5mm±0.1程度。
仮付けした後のルート間隔。
規定で5mm以下となってるので,ギリを攻めたい。
広ければ広いほど,合格率が上がるからだ。
5mmギリを狙ってルート間隔を決めよう。
ルート面
下向き・立向き共通。
ルート面は,1.0mm〜1.5mm程度。
グラインダーでまっすぐに削る。
ヤスリで手仕上げする人もいるぐらい
ルート面も重要。
きっちり真っ直ぐに取ることが大事。
溶接電流
下向き | |
1層目 | 短絡190A |
2層目 | 短絡180A |
3層目 | 短絡160A |
立向き | |
1層目 | 短絡135A |
2層目 | 短絡130A |
3層目 | 短絡125A |
溶接棒
下向き | |
1層目 | 4φ LB-47 |
2層目 | 4φ LB-47 |
3層目 | 4φ LB-47 |
立向き | |
1層目 | 3.2φ LB-47 |
2層目 | 3.2φ LB-47 |
3層目 | 3.2φ LB-47 |
普通ボイラー溶接士 仮付け(下向・立向)のやり方とコツ
溶接時間に仮付け時間も含まれる。
裏当て金の仮付け開始から試験板提出までの時間が1時間以内であること。
仮付けは,下向き・立向き共に同じ方法。
一気に「計4枚+2枚」を磨いて仮付けしてしまおう。
試験材をもらったら黒皮を磨く。
黒皮を磨く理由は,こちら↓の記事を確認。
特に裏板は表裏磨く。
1層目が終わった後,焼け跡(テンパーカラー)確認のため。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9081-scaled-e1694928513922.jpg)
治具に固定し,ルート間隔を確認する。
4.7mmぐらいにセット。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9088-scaled-e1694928938946-1.jpeg)
ルート間隔を決めたら板を固定し,裏板をいい感じに置く。
裏板と板を溶け込ませればいいので,とりあえずいい感じに置けばOK。
下記写真のように,大体真ん中。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9090.jpeg)
裏板をいい感じに置いたら,試験材の真ん中に印をする。
仮付け位置をきっちり「試験採取位置」から外したいから。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9091.jpeg)
仮付けは計6点する。
まずは,真ん中の1点に仮付けする。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9092.jpeg)
真ん中1点を仮付けしたら,反対側が浮いてないか?確認。
隙間があれば,プラハンなどで叩き隙間を無くす。
※仮付けで大事なのは隙間なく裏板を密着させること。隙間があればスラグ巻き込み,溶け込み不良を起こす原因となる。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9093-e1694929664798.jpeg)
計6点仮付けしたら,治具から外し,裏面のスパッタなどを磨く。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9095.jpeg)
表側もアークストライクなどが無いか確認。
OKなら試験官にルート間隔(5mm以内)を確認してもらい,溶接開始となる。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9097.jpeg)
仮付けは合否を左右するので,時間がかかってもいい。
絶対に隙間のある状態で裏板金を仮付けしてしまわないよう練習しよう。
ちなみに俺は,仮付けに15分はかけるよ。
普通ボイラー溶接士 1層目(下向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9100-1.jpeg)
電流は190A。
溶接棒は4φ。
なるべく棒を押し込むように裏板金と板を溶かし込む。
アーク長は,1mm。
とにかく1層目が命。
裏板金が穴が空くんじゃないか?ってぐらい棒を押し込もう!
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9099.jpeg)
1層目が終われば,裏面を確認。
裏板金に焼け跡(テンパーカラー)があるか確認しよう。
焼け跡があれば,溶け込みはOK!
なければ,電流が低いか,溶接速度が速いかだ。
焼け跡は,絶対についていなければならない。
普通ボイラー溶接士 2層目(下向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9103-2-1-e1694931510329.jpeg)
1層目のスパッタなどを綺麗に清掃し2層目へ。
電流は180A。
溶接棒は4φ。
一気に面まで盛り上げよう。
高電流なので,あまり気にせずとも溶け込む。
棒のなくなる速度に合わせ,しっかりと両きわを溶かす。
普通ボイラー溶接士 3層目(下向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9106-2-1-e1694931943760.jpeg)
2層目の高さを確認し,3層目で仕上げられるか?確認。
いけるなら3層仕上げが速い。
むりせず4層でもOK。
電流は160A。
アンダカットに注意しながら,丁寧に仕上げる。
写真は最後失敗しているが…。笑
試験片採取さえOKなら大丈夫。
ここまで30分前後。
あとは,ゆっくり立て向きを仕上げよう!
普通ボイラー溶接士 1層目(立向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9109-e1694932692421.jpeg)
あらかじめ下向き材と一緒に仮付けを完了させておく。
地面より試験材下ヅラ,約600mmの位置にセット。
※中部安全衛生技術センターでは600mm。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9111.jpeg)
電流は135A。
溶接棒は3.2φ。
下向きと同じく,なるべく棒を押し込むように裏板金と板を溶かし込む。
アーク長は,1mm。
とにかく1層目が命。
裏板金が穴が空くんじゃないか?ってぐらい棒を押し込もう!
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9110-e1694932997959.jpeg)
で,すぐに裏面の確認し,焼け跡(テンパーカラー)がついてる事を確認。
OK!
普通ボイラー溶接士 2層目(立向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9113.jpeg)
電流は130A。
溶接棒は3.2φ。
2層目でテンパイまで盛り上げる。
3.2φなので,真ん中で棒つなぎ。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9114.jpeg)
普通ボイラー溶接士 3層目(立向)のやり方とコツ
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9115.jpeg)
電流は125A。
溶接棒は3.2φ。
アンダカットに気をつけながら,1・2・1・2ってリズム良い感じで仕上げる。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_9116-e1694933378765.jpeg)
棒つなぎミスってるがOK!
あとは綺麗に清掃して試験官に打刻してもらおう!
ここまでの所要時間は約45分。
慌てずやれば楽勝だ。
普通ボイラー溶接士の試験会場
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_8751-e1694934588656.jpeg)
結構狭い…。
暑い…。
溶接器はダイヘンの300だ。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2023/09/IMG_8752.jpeg)
上記の作業台の上で板や裏当て金を磨く。
コンセントは近傍に有り。
普通ボイラー溶接士 やり方とコツ まとめ
仮付けは合否を左右する。丁寧に。
ルート間隔は5mm以下。
1層目終わった後の焼け跡確認。
溶接時間は1時間。
配分は仮付け15分。下向き15分。立向き15分。
仮付けには,圧倒的に自動面が有利。
手袋はシモン一択。
![](https://40chousennsya.com/wp-content/uploads/2020/09/1500x500.jpeg)
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