溶接機のキャブタイアケーブルはどう選ぶか?
溶接機の二次側(溶接機〜ホルダー又はアースまで)のキャブタイアケーブルは,現場で引きずり回したり,紫外線による劣化などで定期的に交換の必要がある。キャブタイアケーブルにも種類があり,キャブタイアケーブルカタログを見ているとどれがいいのかわからなくなってくる。
キャブタイアケーブルを選ぶ基準と規格が明確になっていれば,キャブタイアケーブルを迷わず選定できるので記事にしたい。
溶接用キャブタイアケーブルの選び方
キャブタイアケーブルの選び方は
1.溶接電流
2.溶接場所までの距離
3.キャブタイアケーブルの種類
によって決まる。
まずは,1.溶接電流と2.溶接場所までの距離によってキャブタイアケーブルの太さ(スケア)を決める。
キャブタイアケーブル太さの選定表
ケーブル太さ(スケアsq) | |||||
ケーブル長 | 20m | 30m | 40m | 50m | |
溶接電流 | 200A | 38sq | 38sq | 38sq | 50sq |
300A | 38sq | 50sq | 60sq | 80sq | |
400A | 38sq | 60sq | 80sq | 100sq | |
500A | 50sq | 80sq | 100sq | 125sq |
現場では溶接機からホルダーまでの距離はなるべく短くするのが基本。長くなればなるほどキャブタイアケーブルの電気抵抗によって溶接電流が下がるので,20m以内に溶接機を設置するようにしたい。
キャブタイアケーブルの太さはスケア(sq)で表すのが普通。38sqなら(サンパチ)と現場の職人さん達は呼ぶ。
sqとは、「スケア」と呼ばれ電線の導体の太さを表す指標であり、JIS規格により規定されている。
より線の断面積を表すものであり、断面積=平方ミリメートルの英語読み「square mili-meter」が語源となっている。
導体サイズを表す際、日本では一般的にsqが使用されますが、アメリカではAWGを使用する。
一般的な溶接用キャブタイアケーブル許容電流一覧表
公称断面積がスケア(sq)のこと。使用率は溶接機の使用率のこと。
実際の現場は溶接用のキャブタイアケーブルは,38sqか22sqがほとんど。理由は50sq,60sqはケーブルが太すぎて溶接するのが大変だから。ホルダーを持ってるだけで手が振るえる。38sqが普通溶接では標準だと思えばいい。
溶接用キャブタイアケーブルには種類がある
溶接電流と距離によってキャブタイアケーブルの太さが決まったらあとはキャブタイアケーブルの種類を選択するだけ。キャブタイアケーブルには4種類ある。
WCT-導線用天然ゴムシース
WNCT-導線用クロロプレンゴムシース
WRCT-ホルダ用天然ゴム絶縁天然ゴムシース
WRNCT-ホルダ用天然ゴム絶縁クロロプレンゴムシース
現場でよく使われているのはWCT(導線,アース)とWRCT(ホルダ用)。WRCTはWCTより柔らかくて溶接しやすいためホルダー用に使われている。
溶接用キャブタイアケーブル取扱いの注意点
キャブタイアケーブルの許容電流を守る
許容電流を守らないとケーブルが発熱し火事になったり,溶接電流が降下し溶接品質が保てなくなる。メーカーで許容電流を確認し,超えて溶接しないように注意が必要。
ケーブルコネクタを使用する
溶接機からキャブタイアケーブルを敷設するときに,必要以上に長いと取り回しの面や電流降下がおこり作業性が悪くなる。10mごとぐらいにケーブルコネクタを設置し,キャブタイアケーブルを必要以上に長くしないようにすること。
また溶接機側はメス側とし,キャブタイアケーブルを外した時に通電部を露出しないようにすることが大事。
キャブタイアケーブルをコイル状に巻いて使用しない
交流アーク溶接機では電圧降下が大きくなり,出力電流が著しく減少するため,コイル状にキャブタイアケーブルを巻いて溶接するのはNG。
電子機器や計器類にケーブルを近づけない
溶接電流によって誤動作や破損の恐れがあるため,電子機器や計器類にキャブタイアケーブルを巻かないように敷設すること。
劣化したキャブタイアケーブルは使用しない
ゴムのひび割れが著しいキャブタイアケーブルや,芯線が露出しているキャブタイアケーブルは使用しないこと。何回も繰り返し使ううちに知らない間に劣化しているので使用前はもちろんのこと,使っていない時でも1ヶ月に1回は点検しよう。
キャブタイアケーブル敷設は2人で
投げ下ろしや無理な引っ張りなど1人ではどうしても危険な作業となる。敷設距離が長い場合は2人作業でキャブタイアケーブルを敷設すること。
まとめ
溶接用キャブタイアケーブルの選び方は溶接電流と長さによって太さを決め,ケーブルの種類を選ぶ。太さはスケア(sq)で表し,38sqか22sqが一般的に多い。種類はWCTかWRCTを選ぶ。取扱いの注意事項を守り溶接を行う。
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