ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の3分講義【職人用】
正しいボルトの【合いマーク・締付けマーキング】はコチラ↓↓↓
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】って何ですか?
・何のためにつけるの?理由は?
・誰がつけるの?
・タイミングは?
全部わかりやすく教えて欲しい。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】は『締め付け忘れ』・『緩み確認』するために必要なんだ。
現場歴25年の経験から詳しく解説するね!
本記事の内容は以下の通り
・ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方【3分講義】
・ボルト・ナットの角で角度を知れ
・マーキング前に再確認【3つある】
・余談:スプリングワッシャーは過信するな
この記事を書いている俺は「溶接歴25年」の熟練溶接工。
保有資格は,JIS溶接技能者(TN-P,T-1P,N-2P,C-2P),溶接管理技術者2級,管施工管理技士1級。
要するに,現場歴が長い職人。
本記事は,現場でよくあるボルトの【合いマーク・締付けマーキング】についてまとめた記事。知っておくとハナタカになる豆知識もあるので,ぜひ最後までお読みください。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方
上記の写真が,ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方となる。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方
- 見えやすい『位置』につけること
- 見えやすい『色』でつけること
- ボルト・ナット・ワッシャー・機器本体まで連続していること
- 六角ナットの『角』につけること
- 太すぎず・細すぎず,適正な太さでつけること
- 消えにくいペンでつけること
上記の①〜⑥は,当たり前のようだが現場で完璧なボルトの【合いマーク・締付けマーキング】に出会うことは少ない。
鉄骨組み立てなどの職人では常識として徹底されていることも『溶接工』,『鍛治工』などは,
- ナットのみにマーキング
- マーキングが曲がっている
- マーキングがずれている
ことが多い。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方を覚えておこう。
建設現場の大半で使われているマーキングペン
大量にマーキングしなければならない時は,線引き屋スプレーが超絶便利
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつける理由
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつける理由は何?
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつける理由は主に2つ。
- 締め付け忘れがないか目視確認できる
- 緩みがないか目視確認できる
理由1.締め付け忘れがないか目視確認できる
ボルトが大量(何千本)にあると『締め付け忘れ』が発生する。
それを防ぐためにマーキングをし,目視確認できるようにする。
注意したいのは,締めてなくてもマーキングつける人がいること(笑)
理由2.緩みがないか目視確認できる
『緩みがないか』をマーキング線によって目視確認できる。
マーキング線が緩み方向にずれていると一目瞭然なので点検に便利。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】は誰がつけるのか?
誰がマーキングするの??
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつける人は,
- 締め付け者
が鉄則。
締め付け者がマーキング→作業班長が確認→現場監督が確認
の手順。
作業班長や現場監督がマーキングすると,チェック機能が一つ抜けることになるのでボルト締め付け者がマーキングを行うのが鉄則。
現場によっては,
- 仮締めする人と本締めする人が違う場合
- 本数が多いので日をまたぐ場合
などがあるのでマーキング者の責任は重い。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつけるタイミング
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつけるタイミングは,
仮締め
↓
本締め
↓
合いマーク・締め付けマーキング
が一般的。
業界によっては,
仮締め
↓
1次締め
↓
合いマーク・締付けマーキング
↓
本締め
となる場合がある。
※高力ボルト(ハイテン)の締め付けは,『仮締め』,『1次締め』,『本締め』という3つの締め方によって締める。
仮締め・・・手締め程度
1次締め・・・ボルトに対して均等に張力をかける
本締め・・・マーキング線の『角度ずれ』によって締め付け量を知る
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】のタイミングは,業界によって違うので作業前に確認する必要がある。
ボルト・ナットの角で角度を知れ
ボルトを締め付ける時に回転角で締め付けを管理することがあるので,六角の1角の角度を知っておくと便利。
三角形の内角の和は180°。それから角が一つ増える度に180°ずつ増える。つまり,六角形の6から2を引いて180°をかけたものが内角の和。
六角形:(6-2)×180=720°
720を6で割れば一角の角度。
720÷6=120°
六角ボルトの1角は120°
要するに,マーキング線を基準にして何度回すのか?が管理できる。
1角は120°だから半分なら60°か…
というように。
合いマーク・締付けマーキング前に再確認!【3つある】
ちょっと待って!
マーキング前に3つ確認することがあるよ。
- 締め付け量が不足or過大でないか?
- ボルト・ナットの面が着座しているか?
- 周り止め溶接が必要でないか?
上記の3つをマーキング前に再確認してほしい。
というのは,現場でよくあるミスなので…。
特に②のボルト・ナットの面が着座しているかどうかは重要で,手入れ不足でバリやゴミがボルト・ナットの当たり面に噛み込んでいると『緩み』や『異常振動』につながる。
マーキング前には,しっかりと上記の3項目は確認しておこう。
余談:スプリングワッシャーは過信するな
スプリングワッシャー=ばね座金は,
『ボルトの緩み止め』として長らく使用されてきたが,意外にも効果はあまりないようだ。
東京大学による実験によれば,
一般的にばね座金の効果としては,被締結体にすべりや遊離がある場合にばね座金によってボルト・ナットが回転しにくいようにするという効果を上げる人が多いが,現実にはこの効果があるとはいえないようである。通常の締結力で締め付けられている状態ではばね座金は密着状態となっており,ばねとしての機能をはたしていない。そのため,通常の締結力下でのせん断荷重作用下のゆるみ試験ではばね座金の回転阻止機能はほとんど認められないか,逆にゆるみを促進してしまうようである。しかし,ばね座金がばねとして機能するような低軸力下では効果が認められるようである。
とある。
緩みを促進することもあるんですね…。
気をつけます。
事実,スプリングワッシャーは『機器,車などの主要部品』に使われることは現在ではなくなり,代わりに『ダブルナット』・『ネジロック剤』・『ハードロックナット』などに置き換わっている。
昔の職人ほどスプリングワッシャーに対する信仰心みたいなのが強いので入れたがるが,なんでもかんでも入れればいいわけでもないってことは頭に置いておこう。
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】:まとめ
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】の正しい付け方
- 見えやすい『位置』につけること
- 見えやすい『色』でつけること
- ボルト・ナット・ワッシャー・機器本体まで連続していること
- 六角ナットの『角』につけること
- 太すぎず・細すぎず,適正な太さでつけること
- 消えにくいペンでつけること
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつける理由
- 締め付け忘れがないか目視確認できる
- 緩みがないか目視確認できる
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】は誰がつけるのか?
- 締め付け者
ボルトの【合いマーク・締付けマーキング】をつけるタイミング
- 業界によって違う。マーキング前に確認。
ボルト・ナットの角で角度を知れ
- 六角の1角は120°,半分は60°
マーキング前に再確認!
- 締め付け量が不足or過大でないか?
- ボルト・ナットの面が着座しているか?
- 周り止め溶接が必要でないか?
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