現場溶接では被覆アーク溶接棒は曲げて使うことが多い
現場での溶接作業では,他の配管や機器類が近くにあり溶接したい場所が目の前に来ない場合が多々ある。
そんな時に350mmや400mmの長さがある溶接棒を箱から出して真っ直ぐなまま使おうとすると非常に取り回ししづらく溶接姿勢が限定される。
そこでよく使われるのが,溶接棒を自分の好きな形に曲げてしまって使う方法。
曲げ方は人それぞれだが現場ではよく使われる常套手段。
今回は溶接棒を曲げて使うときのメリット・デメリットを紹介したい。
被覆アーク溶接棒を曲げて使うときのメリット
狭い場所でも溶接棒が入る
上の写真のように,配管と配管の隙間や体が入りきらない場所などは溶接棒を丸く曲げて奥から手前にビードを引っ張って溶接する。
使い慣れると,どこでも自在に溶接できるようになりワンランク自分の腕が上がった気がする。
溶接棒が真っ直ぐなまま裏側を溶接しようと思うとかなり無理な態勢になり体力の消耗が激しい。
狭い場所では溶接棒を曲げて使ってみることも試してみてほしい。
溶接棒が短く感じアークを出しやすい
曲げる角度にもよるが明らかに溶接棒のハンドリングがよくなり扱いやすくなるはず。
アークが出すのが苦手な人でもアーク発生が簡単に感じるはず。
一度溶接棒を曲げるのを覚えると必要ないところでも若干の曲げを入れたくなる衝動にかられるはず。
溶接姿勢が楽になる
溶接棒を曲げて使えるようになると溶接姿勢がかなり楽になる。
今まで苦労してたのが,バカらしくなるぐらいに感じるほどだ。
配管の真下からの溶接や狭い場所での溶接は姿勢が全て。
その姿勢が楽になれば溶接の難易度がグッとさがる。
溶接棒は真っ直ぐなまま使うという固定観念を捨てじゃんじゃん曲げて使おう!
被覆アーク溶接棒を曲げて使うときのデメリット
被覆がはがれる
当然だが,溶接棒には被覆がついており慎重に曲げないと被覆がはがれ落ちアークが安定しない。
特に低水素系溶接棒は被覆がはがれやすいので慎重に曲げよう。
RT検査やUT検査があるときにはシビアに曲げないとブローホールや溶け込み不良を起こしやすいので注意が必要だ。
溶接棒にムダが多くなる
曲げて使うと使いやすい反面,溶接棒の有効使用範囲が狭くなる。
根元まで使いきれなくなることが多いので,なるべくなら溶接棒を曲げるのは現場だけにしたい。
体勢のいい工場溶接では真っ直ぐなまま使うことをオススメする。
慣れるまでに時間がかかる
溶接棒を真っ直ぐなまま使うことに慣れていると曲がった溶接棒は違和感だらけ。
慣れるまでにかなりの時間を要するだろう。
頭を柔らかくして曲がった溶接棒が溶けていくイメージを持つことが大事。
真っ直ぐな溶接棒とは違う手の動きになるはずなので反復練習で慣れることが大事になってくる。
曲げて使う時にオススメの被覆アーク溶接棒
B-17 | 軟鋼用(400N級)イルミナイト系被覆溶接棒 |
ZERODE-44 | 軟鋼用(400N級)ライムチタニヤ系被覆溶接棒 |
LB26,52 | 軟鋼用(400N級)低水素系被覆溶接棒 |
よく現場で使われているのはこの3種類だと思う。
なかでもZERODE-44は被覆に粘りがあり曲げて使いやすい棒。
重要な構造物には不向きだが,ちょっとした配管やサポートを溶接する時に重宝する。
LB系の低水素系は使う時に乾燥させるのが条件なのと被覆がはがれやすいのでちょっと利便性には欠ける。
B系の棒はオールマイティで使えるので迷ったらB棒でいい。
溶接棒を曲げて使うにはまずはZERODE-44→B-17や14→LB26や52の順番で試してみよう。
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まとめ
溶接に慣れてきたら溶接棒を曲げて使ってみよう!オススメはZERODE-44。被覆がはがれにくくアークも安定している。狭い場所での溶接にぜひ!
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